【高校選手権】星稜 3-0 日大藤沢|森山泰希にようやく笑顔 自信と信頼を胸にリベンジの舞台へ!

2015年01月10日 森田将義

スタンドから試合を眺めて気づいたこと。

不完全燃焼だったここまでの鬱憤を晴らすような活躍で、森山(10番)がチームを2年連続の決勝へと導いた。 (C) SOCCER DIGEST

「自分としては、昨日までは満足できる大会ではなかった」
 
 しぶとい戦いぶりで準決勝に勝ち上がってきた星稜だが、FW森山泰希には心からの笑顔がなかった。
 
 初戦の2回戦・鹿児島城西戦はイエローカードを2枚もらい、後半開始早々に退場。出場停止明けの準々決勝・履正社戦は、FW大田賢生の得点をアシストしたものの、怪我で退場を余儀なくされた。
 
 みずからが特長として誇る「ゴールへ向かう気持ちや、前線からかき回してチームを助ける動き、辛い時に声をかけて鼓舞する声」は、間違いなくチームの力になっていた。それでも、最後までピッチに立てない悔しさ、ゴールを決められないもどかしさが、森山から笑顔を奪っていたのだ。
 
 その鬱憤を、一気に晴らすような活躍だった。日大藤沢との準決勝。森山はキックオフから溌剌とした動きでチームを牽引。決勝進出の大きな原動力となったのだ。
 
 最初の見せ場は35分。左サイドでボールを持ったMF藤島樹騎也からのパスをコーナー近くで受けると、ゴール前へ折り返す。これがMF杉原啓太の追加点につながった。
 
 前半ロスタイムには、右サイドからドリブルを仕掛け、中央のFW大田賢生にパス。大田が森山に戻したリターンパスが相手のハンドを誘い、決定的な3点目となるPKを獲得した。
 
 後半は見せ場が少なくゴールは奪えなかったものの、森山はようやくフル出場を果たし、勝利に貢献した。
「ゴールを決めないといけない場面はあったけど、全国の準決勝で圧勝できたのはよかった。やっと、少しはチームに貢献できたんじゃないかと思う」
 
「退場や怪我がプラスになっている」と本人も振り返ったように、初戦の退場処分を無駄にはしなかった。出場停止の3回戦・米子北戦をスタンドから眺め、大事なことに気づけたという。
「(初戦で)退場して、試合をスタンドから見ていた時にチームメイトの信頼を感じたし、『これだけ俺のために頑張ってくれているんだ』ということに気づけた。ピッチではきっと気づけなかったと思う」
 
 そんな仲間たちと一緒にプレーできるのは、泣いても笑ってもあと1試合だ。
「大舞台を楽しむ気持ちが一番大事、そうみんなで話している。前回は決勝で負けて、その悔しさがあるからこの1年、必死で練習してきた。その必死な練習と監督を信じて、楽しんで(決勝に)挑みたい。このチームなら、絶対に日本一が獲れる」
 
 取り戻した自信と、新たにした仲間への信頼を胸に、森山はリベンジの舞台に挑む。
 
取材・文:森田将義(サッカーライター)
 
■試合の結果
星稜 3-0 日大藤沢
得点者/星=オウンゴール(前半22分)、杉原(前半35分)、大田(前半45+1分)
 
【高校選手権Photo】1月10日|準決勝
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事