【高校選手権】星稜 1-0 履正社|待ち続けたワンチャンス

2015年01月05日 森田将義

伝統のサイド攻撃から、大田がセオリー通りに決勝点をゲット。

難しい体勢ながらもわずかに右足で触れてコースを変えた大田(10)の決勝弾。セオリー通りの動きで2試合連続のゴールを決めた。 (C) SOCCER DIGEST

「相手は攻撃力のあるチーム。ある程度、ボールは回されるとは思っていた」
 
 星稜・木原力斗監督代行が戦前に予想した通り、前半から試合の主導権を握ったのは履正社だった。
 
 個人での打開力を持つ瀧本高志、林大地といったFW陣にサイドから押し込まれた結果、守備に追われる時間が多く、星稜が前半に打ったシュートはわずか1本。それでも、集中力を絶やさない守備陣の奮闘から、密かにチャンスを待ち続けた。
 
「自分たちの攻撃のチャンスが来たら、勇気を持って前に出ていこう」という木原監督代行のメッセージを受けた後半も、星稜は序盤戦で連続攻撃を食らったが、後半10分にチャンスは訪れた。
 
 相手エリアの左サイドでボールを受けたMF藤島樹騎也が縦にスルーパスを入れると、FW森山泰希が反応。相手DFに囲まれながらも森山がゴール前に上げた低いクロスを、「自分が前を向いてボールを持ったら、いつも動き出してくれる」(森山)というFW大田賢生が体勢を崩しながら合わせ、ネットを揺らした。
 
 チームに歓喜を呼び込んだ2トップはこの一年、ずっと前線のコンビを組んでおり、連携はバッチリ。今回の遠征でも同部屋であり、朝が弱いという大田を毎日、森山が起こしてあげるなど、ピッチ外でも阿吽の呼吸を見せるふたりの絆が得点に結びついたと言えよう。
 
 この日、大田が前半に打ったシュートはゼロ。チャンス自体が少ないなかでも、「ワンチャンスは絶対に来ると思うので、それを決めることを意識していた。狙い通りのゴール」と、"その時"を待ち続けた末の一撃は、3回戦の米子北戦と同じく、サイドからのクロスをニアで合わせたものである。
 
「サイドからの攻撃は星稜の伝統。クロスの練習でも、ニアでの動きが大切だと言われ続けている。ゴール前では正直に打っても入らないので、相手の裏を狙うのがコツ」(大田)という、セオリー通りの得点だった。
 
 昨年は登録メンバーに入れず、スタンドから準優勝を見守ることを強いられた。出番を得た今回は、大会にかける思いは強い。
 
「昨年は決勝で負け、悔しい思いをした。今年は1試合1試合勝って、優勝したい」と誓った大田。その力強い言葉からは、次戦での得点も十分に期待できた。
 
文:森田将義(サッカーライター)
 
星稜(石川) 1-0 履正社(大阪)
得点者/大田(後半10分)
 
【高校サッカー選手権Photo】1月5日|準々決勝
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