「なにくそ、いつか見返してやろう」初戦敗退の龍谷主将が後輩に託したリベンジ【選手権】

2020年01月01日 熊介子(サッカーダイジェストWeb編集部)

「2年生のほうが技術が高い」

初戦敗退に終わった龍谷。主将の柴田(4番)は目に涙を溜めながら3年間を振り返った。 写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 第98回全国高校サッカー選手権は31日に各地で1回戦が行われ、NACK5スタジアム大宮の第2試合で、2年連続出場の龍谷(佐賀)が、初出場の専大北上(岩手県)に1-3で敗れた。

 横殴りの強風が舞うなか、龍谷は前半早々から主導権を奪われる。15分に先制点を許すと、21分、30分にも立て続けに失点。県予選では5試合で無失点と鉄壁だった守備陣が崩壊し、アビスパ福岡などでプレーした太田恵介監督は試合後、「通用しなかったことは一度崩して、ゼロからまた始める。そうしないと厳しい」と振り返った。

 後半は間延びしたフォーメーションをコンパクトに整え、ペースを握った。じわじわと相手ゴールに迫り、67分にはMF大石遼馬のスルーパスを同じ2年生MFの石橋啓士が流し込んで1点を返した。だが、反撃もここまでだった。

 悔しい初戦敗退――。主将を務めたDF柴田陸玖は涙をこらえながら、「人間的に成長した実感がある」と3年間を振り返った。

 太田監督は地域交流に力を入れ、選手たちがボランティア活動などに積極的に関わるように指導してきたという。目的は、地域の活性化と選手の自主性の育成。実際に、「地域貢献のための活動や、寮生活を通して両親のありがたみが身に染みた」(柴田)という。

「この3年間、1年生の時は腐っていたような時期もあったけれど、監督やコーチに厳しいことを言われても、なにくそ、いつか見返してやろうという気持ちも芽生えた。厳しいことも、すべて自分たちのことを思ってのこと。ここまで来られたのは、監督やコーチ、支えてくれた1,2年生みんなのおかげ。心から感謝しています」
 
 監督やコーチ、後輩に話が及ぶと、その目はさらに赤く染まった柴田。卒業後、福岡県の西南学院大学でサッカーを続けるという。

「2年生は責任感がある選手が多く、一人ひとりの技術が自分たちの学年よりも高い。来年も県大会優勝が可能だと思うし、選手権に出場できる実力がある。実力があることで満足せず、謙虚な姿勢と努力を積み重ねれば、きっといま以上にやってくれるはず」

 選手権でのリベンジは後輩に託された。"再生"を誓う太田監督のもと、龍谷はまた新たなスタイルを全国に見せてくれることだろう。

取材・文●熊介子(サッカーダイジェストWeb編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事