ベイルは「世界一マイペースな男」? その一過性の爆発に期待を寄せて

2019年12月31日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

一発男ベイルへの淡い期待

ここぞというときに力を発揮するベイルだが、信頼は置けない。(C)Getty Images

 ガレス・ベイルはプレーヤーとしての良し悪しがはっきりしている。

 ドリブル、シュートとも規格外の破壊力を誇り、一発で試合を決める力があるが、怪我が多く、安定感と信頼性に欠ける。実際、レアル・マドリーに入団してから7年目を迎えるが、CLやコパ・デル・レイのファイナルで得点を決めるなど大一番で強さを発揮する一方で、1年を通じて活躍を見せたシーズンはごくわずかだ。

 結果なにかと賛否両論を巻き起こしてきたが、中国スーパーリーグへの移籍騒動を経て迎えた今シーズンは、その傾向がさらに加速。周囲からの風当たりが増すとともにクラシコやCLのようなビッグゲームにしか"本気"を出さないという論調が多くなっている。

 そんな中でもベイルのマイペースぶりは相変わらずで、代表戦で負傷した後、次の代表戦で復帰を果たすまでの間、マドリーでは約1か月間戦線を離脱。おまけにその復帰2戦目のハンガリー戦後に「ウェールズ、ゴルフ、マドリー、この順番だ」と記されたフラッグを掲げ大きな波紋を呼んだ。
 
 しかし2019年12月、バレンシア、バルセロナと強豪との試合が続く前半戦の山場が近づくと、にわかにベイルの待望論が高まり、実際、クラシコでスタメンに起用された。だがその次戦のアスレティック・ビルバオ戦では後半から途中出場して沈黙。またしても批判が渦巻いた。

 ベイルはこれからも周囲の反応などどこ吹く風と言わんばかりのマイペースの振る舞いを続けるだろう。信頼は置けないが、ここぞという時にその意外性にかけてみたくなる。

 クリスチアーノ・ロナウドの後を継ぐエースとして期待された男としては、物足りないのは言うまでもないが、少なくとも去就問題が再燃するだろう今シーズンが終わるまでは、1度は戦力外を通告したジネディーヌ・ジダン監督も、不満の色を強めているファンも、一過性の爆発に淡い期待を抱きながらその両極端なプレーと付き合っていくことになりそうだ。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
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