【アジアカップ激闘録】かけがえのない勲章「00年」決勝レポート

2015年01月02日 週刊サッカーダイジェスト編集部

「日本サッカーのすべてが集結されて――」

ウォーターシャワーでスーツを濡らしながら、笑顔で勝利の美酒に酔いしれるトルシエ監督。 (C) SOCCER DIGEST

 1月9日にアジアカップが開幕する。連覇を目指す日本は12日のパレスチナ戦で大会をスタートさせる。
 
 史上最多4度のアジア制覇を成し遂げている日本代表。ドラマに富んだその4度の優勝を『週刊サッカーダイジェスト』のアーカイブからお届けしよう。
 
 日本の二度目の優勝は、トルシエジャパンの2000年大会。2年後の自国開催のワールドカップでの躍進を予感させる、いわば盤石の勝利だった。
 
 決勝レポートを週刊サッカーダイジェスト2000年11月7日号より。
 
――◆――◆――

 船出から、丸2年が経過した。
                     
 浮かんでは消え、失意のなかから這い上がってきた選手は少なくない。なかなか結果の出せなかったそのチームの指揮官、"ムッシュ"トルシエめがけて、日本代表のイレブンが一斉にウォーターシャワーを展開する。
 
 スーツをびしょ濡れにされたフランス人もまんざらではないようで、ストレートに喜びを表現している。だが、気持ちが高揚してしまったのか、どうにもろれつが回っていない。
 
「このカップは私や選手だけでなく、日本サッカーすべてが結集されて獲得したものなんだ」
 
 準決勝までの道のりは、組織と技術、そして経験値でもライバル国を圧倒し、苦境に立たされても確固たる自信と高い集中力で凌駕してきた。トルシエジャパンは24か月という長い月日を経て、ついに公式戦の初タイトルを射程距離に捉える。決勝の相手は、大会初戦で4-1と粉砕した前回王者、サウジアラビアだ。
 
「前と同じサウジだと思っていたら、絶対にやられると感じてた」
 
 とは高原。これは試合前の日本チームから多く聞かれた言葉で、実際に日本戦後に監督が代わって以降、サウジは敗れていない。選手からの信望の厚いアルジョハルがコーチから監督に昇格し、慣れ親しんだ4バックを採用。緩急をつけたサウジ自慢のアタックが復活していたのである。
 
 日本も、「ここで負けたら『よくやった』という程度のものしか残らない」(トルシエ監督)と、真っ向から受けて立つ構えだ。互いに17日間で6試合目となる決勝戦は、ベイルートのスポーツシティに5万人の大観衆を集め、キックオフを迎えた。

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