田中マルクス闘莉王が引退を決意した理由は? 「自分の中の“炎”が消えかかりそうになったら…」

2019年12月01日 古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

「消えかかっていた“炎”を最後のエネルギーに変えて」

闘莉王のその表情からは充実感が感じ取れた。写真:滝川敏之

 12月1日、田中マルクス闘莉王が現役引退を発表した。

 闘莉王は2002年に広島でプロキャリアをスタートさせ、水戸、浦和、名古屋、京都と渡り歩き、今シーズン限りでスパイクを脱ぐことに。Jリーグ通算529試合・104得点、国際Aマッチは43試合・8得点を記録している。

 今季も持ち前のリーダーシップや空中戦の強さを発揮し、J2の30試合に出場。昨季19位の京都がJ1昇格争いに加わる一因となった。そんな矢先での発表だった。

 都内で行われた引退会見で闘莉王は「今日を持ちまして、あっという間の19年間のプロ生活を引退します。たくさんの人、ファン、サポーターが、こんなしょうもない人間を支えてくれた。感謝の気持ちで心から胸がいっぱい。ありがとうございます」と始めに感謝の言葉を口にした。
 
 そして引退を決意した理由を問われるとこう答えた。

「(広島に)入団した当時、『今までにないDF』になりたくて、守りだけでなく攻めを意識してやってきました。その時から決めていたことがあって、自分の中の"炎"が消えかかりそうになったら、どんな時であれ、年齢は関係なく引退しようと。サッカーに失礼がないようにとずっと決めていました去年の終わり頃に少しそれを感じて、やっぱり引退しなきゃいけないなと」

「最後の1年は今まで敵として戦ってきた相手チームのサポーターへ挨拶をしたいなと思い、サッカーは当然ですが、少しでも感謝の気持ちを伝えたかったので。消えかかっていた"炎"を最後のエネルギーに変えて今年1年やりました。去年の終わりくらいから(引退は)決めていました」

 確かに今季の闘莉王は、全盛期のスピードには及ばなかった。それでも圧倒的な存在感、パワフルなヘディング、豊富な経験に裏打ちされた読みなど、そのパフォーマンスは常に進化を続けているようにも感じられた。

 日本を代表する闘将が、スパイクを脱ぐ決断をした。19年にも及ぶ現役生活を振り返る表情や口調からは、やり切ったという充実感が感じ取れた。

取材・文●古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

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