「生きる勇気を失ってはいけなかった…」闘病中のミハイロビッチが会見に“復帰”! 涙ながらに感謝を語る

2019年12月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

選手もサプライズで登場

記者会見の場に復帰したミハイロビッチ。そこでは随所で“らしさ”を見せつけた。 (C) Getty Images

 白血病であることを告白した7月13日から約4か月半。現地時間11月29日、ボローニャのシニシャ・ミハイロビッチ監督が、ついに記者会見の場に戻った。

 イタリア紙『Gazzetta dello Sport』などの複数の現地メディアによると、会見冒頭にはサプライズで選手たちも登場。これに対して、指揮官は、「あいつらは練習しないために何でもする」と冗談を飛ばしたが、主将のブレリム・ジェマイリは、「チームにとってもスタッフにとっても、『あなたが恋しかった』という言葉じゃ足りないよ」とメッセージを送った。

「あなたが戻ってきたことを、僕たちはすごくうれしく思っている。(直近の成績から)僕らに満足していないのは分かっているが、これから満足させたい。近くに戻ってきてくれて、ありがとう」

 教え子からの祝福を受けたミハイロビッチは、「病気のことがチームに影響することは分かっていた。当然だ。だが、それが言い訳になることだけは望まなかった」と述べている。

「わたしがどれだけ彼らのことを大事に思い、その逆もしかりであることを、彼らは分かっている。だが、わたしは彼らにもっと多くを期待しているよ。結果やプレー、姿勢にキレているんだ。これからは200パーセントを出してもらわなければいけない。ここから脱却し、昨シーズンのボローニャが見られると確信している。これからは、ふさわしい者が試合に出る」

 会見中には何度か涙ぐみ、家族や病院関係者、ファンらに感謝の言葉を口にしたミハイロビッチは、「自分が英雄だと感じたことはない。わたしは人間だ」と話した。

「この病気は勇気だけで勝てるものではない。治療が必要だ。それを恥じることはない。唯一、患者がしてはいけないのは、生きる勇気を失うことだ。病気に打ち勝つには忍耐が必要なんだよ。さらに優れた人間として乗り切りたい。以前は、忍耐力は自分の強みじゃなかった。今はそれを持たなければいけない。そして一瞬一瞬を楽しむ」

 会見ではチームの補強についても持論を述べている。ボローニャは、現在フリーとなっている元スウェーデン代表FWのズラタン・イブラヒモビッチを獲得するかが注目されている。この動向についてミハイロビッチは、「10日ほど前に連絡した。どうなるか、見てみよう」と語った。

「彼は関心を持ってくれている。もしも加入するなら、わたしのために来てくれるんだ。だが、ほかの解決策をもあることは理解している。決めたら連絡をくれるはず。すべてはスタンバイ状態だ」

 復活を印象付けているミハイロビッチは、母国セルビアで年間最優秀監督に選出された。さらにセリエAの指揮官たちからも、同じように何かしらの賞で讃えようという声が上がっている。このことについて当人は、「セルビアは昨シーズンの奇跡の残留で賞をくれたんだ」と述べた。

「それなら(セリエAの年間最優秀監督賞も)受け取らせてもらうよ。だが、もしも病気のことが理由なら、ほしくないね」

 ボローニャは、現地時間12月1日に開催されるセリエAの第14節でナポリと敵地で対戦する。まだ飛行機や列車に乗れないというミハイロビッチは不在となるが、チームは新たなモチベーションで試合に臨むはずだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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