「危険なタックルはわざと?」「自信満々だったが?」――サウジ・メディアの“挑発質問”に浦和の闘将とエースの返答は?

2019年11月23日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

煽りを冷静にかわし…

優勝トロフィーとの記念撮影にも臨んだ興梠(左)と大槻監督(右)。その表情は終始、引き締まっていた。 写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 11月24日に行なわれるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の第2レグを前に、アル・ヒラルと対戦する浦和レッズの大槻毅監督と興梠慎三が前日会見に臨んだ。

 現地時間11月9日に敵地サウジアラビアでアル・ヒラルに0-1と敗れた浦和。ホームでの第2レグでは、2点差以上での勝利が優勝に向けた最低条件となる。無論、アウェーゴールを奪われれば、より苦しくなる過酷な状況だ。

 2年ぶりのアジア制覇に向けて土俵際に立たされている浦和だが、チームの闘志は消えていない。大槻監督は、「非常に大きな試合ができるということに高ぶるとともに、いろんなことに適応して良い試合ができるようにしたい」と意気込めば、興梠も「1stレグは0-1で負けはしましたけど、僕は次に繋がる結果だと思ってます。明日は6万人近くのサポーターが集まってくれます。その人たちのためにも勝ちたい」と指揮官に同調した。

 会見では、アル・ヒラルを取材しに来ていたサウジアラビアのメディアから大槻監督に向かって、挑発的な質問が飛んだ。

「第1レグの前の会見で、自信満々で、絶対に勝てるというような感じで喋っていたのですが、実際には浦和は何もできなかったように見えました。あの会見は自信を見せるためのパフォーマンスだったのでしょうか?」

 この問いに浦和の闘将はドスの利いた声で、淡々と返答してみせた。

「いつも記者会見に来たらしっかりと喋ろうと思ってます。パフォーマンスに見えたら、それはそれでいいです。明日、大事なことは試合のパフォーマンスだと思ってます。そこで選手に頑張ってもらえたらいいです」

 さらに興梠にもサウジアラビアの記者から手厳しい質問が飛ぶ。浦和がクラブ史上2度目のアジア制覇を成し遂げた2017年のACL決勝での対戦を踏まえ、「今回の対戦でも第1レグでジョビンコに激しくいっていたが、相手選手を怪我させるようなことをチームの意図としていたのか?」と、故意に悪質なタックルをしているかを問われたのだ。

 これに対して、浦和のエースは、「誰かに怪我をさせようとかって考えたことは全くない」と一蹴した。

「自分だけじゃないとは思いますけど、試合を通して、誰かに怪我をさせようと考えたことはない。もちろんキーになる選手に対して、激しくいく必要性はあると思いますけど、怪我をさせてやろうとかっていうのは全くない。

 明日、戦うチームは、本当にチームとして素晴らしい。一人ひとりの個の能力は非常に高いものがありますので、誰か一人に激しくいくんじゃなくて、全員に対して激しくいかないといけないと思っています」

 対戦国メディアの煽りを冷静にかわした闘将とエース。その目は、大一番での逆転優勝という青写真のみを見据えていた。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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