大崩れの森保ジャパン…求められるのはリーチ・マイケルのような“闘将”だ

2019年11月20日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

柴崎のような“背中で引っ張る”タイプが悪いとは思わないが

ベネズエラ戦でキャプテンを務めた柴崎も、チームを立て直せなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 森保ジャパンに必要なのは、ひと声で悪い雰囲気を一変させるような人材ではないか。

 日本代表11月シリーズの2試合、アウェーで苦戦を強いられたキルギス戦、前半のうちに4失点と惨敗を喫したベネズエラ戦を見て、そんな想いを抱いた人は少なくないはずだ。

 相手のレベルこそ違えど、いずれの試合も前半からゲームをコントロールできず、あっさりと決定機を作られていった。格下だったキルギスにこそ2-0で辛くも勝利したものの、ベネズエラ戦では早い段階で守備組織が崩壊し、失点を重ねていき、一矢報いるのが関の山だった。

 大崩れする前に、チームメイトを鼓舞して立て直せるような人材はいなかった。もちろん柴崎岳のような"背中で引っ張る"キャプテンはいたし、そうしたタイプが悪いとは思わないが、事実柴崎がキルギス戦とベネズエラ戦で、劇的に空気を変えられたかと言えば、そんなことはなかった。
 
 劣勢でこそ、求められるのは、熱くチームメイトを鼓舞する"闘将"ではないか。

 他のスポーツから例を挙げれば、ラグビー日本代表のリーチ・マイケルだ。闘争心剥き出しで相手にタックルをかまし、劣勢となればすぐさま喝を入れて味方を奮い立たせる。そんなキャプテンに率いられ、不屈の精神を植え付けれたチームだったからこそ、先のワールドカップでは、当時世界ランク2位だったアイルランドに大金星を挙げ、そのまま8強入りを果たす快進撃ができたのだろう。

 少し過去を振り返れば、知性と情熱を併せ持った長谷部誠や、激しいゲキを飛ばしてチームに緊張感をもたらしてい田中マルクス闘莉王がいたが、今の日本代表には、そうした強烈なパーソナリティを持った"熱血漢"がいないように見える。

 果たして、そんな人材は現われるのか。今後、何度も訪れるであろう苦境を乗り越えるためにも、森保ジャパンに"闘将"は不可欠なはずだが……。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事