【U-18プレミア参入戦】3年間の身体作りがモノを言った決勝点 大宮ユースの小野が昇格に導く

2014年12月16日 平野貴也

トップチームのクラブハウスの部分的な開放で、ユース選手の身体作りが進む。

大宮ユースをプレミアリーグ昇格に導く決勝点を奪った小野。3年間で格段に力強さを増したという。(C) SOCCER DIGEST

 大宮ユースの7番が躍動した。前半は、先制点を奪われて攻撃のリズムが生まれない苦しい展開だった。大宮のMF小野雅史は、中盤で相手を引きつけながらチャンスメイクに奔走したが、チームが前半に放ったシュート数はわずかに2本。後半に入ると、小野は自ら前に出て行く場面を増やした。
 
 70分に味方が同点弾を決めて追いつくと、その7分後に大仕事をやってのける。右からのクロスに飛び上がって競ると、相手DFとぶつかって落下。しかし、相手より先に立ち上がってボールを拾い、得意の左足で決勝点を叩き込んだ。「巧いだけではない」選手に変わってきた小野らしい得点だった。
 
 元々、スペースを見つける力に長け、ピッチ中央でボールを受ける、さばくというプレーを得意とする選手だった。しかし、小野自身が「どちらかといえば、ぶつからない方だった」と話したように、球際での迫力には欠けていた。
 
 ところが、ユースに入ってからはがっしりとした体格と、球際の争いを厭わないメンタリティーを身につけた。
 
 大宮は、小野がユースに昇格する頃から志木のクラブハウスを部分的にユース選手に開放。当時はトップチームの若手が住み込んでいたが、一部のユース選手が寮のように使えるように変わり、練習後の食事提供やトレーニングルームの自由な利用というメリットを受けた。
 
そうした環境の変化は「相手を抜いてもぶつかって負けたりしていたので、筋トレをやってきた。3年間、地道にやってきた成果が出た」と話す小野の身体に確かなパワーを与えた。小野の体格の変化は、指導者の間でも話題で、中村順育成部長が「あんなに変わるものか」と驚くほどだ。
 
 小野は「中盤で(相手と)コンタクトしたり、走って(プレスをかけて)相手をハメたりするところは、自分がユースで成長したところ」と3年間を振り返った。プレミアリーグ昇格という置き土産を後輩に残し、自身は大学でさらに進化を遂げるつもりだ。
 
 ユースで巧さに強さを加えた小野のこの先の成長が楽しみだ。
 
取材・文:平野貴也(フリーライター)
 
プレミアリーグ参入戦(決勝戦)の結果 ※勝ったチームが昇格
大宮ユース 2-1 仙台ユース
得点者/大=藤沼(70分)、小野(77分) 仙=小林(20分)
 
履正社 2-0 前橋育英
得点者/履=菅原(20分)、牧野(41分)
 
FC東京U-18 2-0 清水桜が丘
得点者/東=大熊(26分)、蓮川(35分)
 
大分U-18 3-1 米子北
得点者/大=坂井(29分・41分)、佐藤(33分) 米=定本(90+2分)
 
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