金字塔を打ち立てたリベリの尽きない情熱 【バイエルン番記者】

2014年12月16日 パトリック・シュトラッサー

「バイエルンの歴史の一部」とペップも称賛。

バイエルンでの公式戦通算100得点を達成し、ブンデスリーガのフランス人最多出場記録を塗り替えたリベリ。31歳の情熱は、まだまだ尽きない。 (C) Getty Images

 フランク・リベリは、バイエルンファンのお気に入りだ。彼らはこんなチャントで、このフランス人を称える。1960年代から70年代にかけて活躍した歌手のジョー・ダッサンがカバーしたことでも知られる「(オー)シャンリゼ」のメロディーに乗せて、ファンはこう歌う。
「オー、フランク・リーベーリィ」
 
 この合唱がアリアンツ・アレーナ(バイエルンの本拠地)にひと際大きく響き渡ったのは、14節のレバークーゼン戦だった。リベリがバイエルンでの公式戦通算100得点を達成したのだ。
 
 リベリはさらに、金字塔をもうひとつ打ち立てた。ブンデスリーガのフランス人最多出場記録だ。かつてシュツットガルトとホッフェンハイムで活躍したマテュー・デルピエール(現メルボルン)の185試合を、レバークーゼン戦で上回ったのだ。続くアウクスブルク戦で、リベリはこの記録を187試合に伸ばしている。
 
 ちなみに、歴代3位と4位はともにバイエルンOBで、3位は184試合に出場したウィリー・サニョール、4位は183試合に出場したビセンテ・リザラズだ。
 
 マルセイユから移籍したのが2007年夏で、今シーズンが在籍8年目。公式戦通算の出場試合数は290に達した。
「フランクはバイエルンの歴史の一部。クラブ史のなかでも最高の外国人選手のひとり」と、ジョゼップ・グアルディオラは称賛を惜しまない。
「復調してくれて嬉しい」
 
 ブラジル・ワールドカップを棒に振ることになった膝蓋腱の故障で、今シーズンは大きく出遅れた。開幕から約2か月間でピッチに立ったのは、3節シュツットガルト戦の22分間だけだった。
 
 それでも、8節ブレーメン戦で戦列に戻ると、徐々に調子を上げてスタメンにカムバック。アリエン・ロッベン、トーマス・ミュラー、マリオ・ゲッツェ、そして新加入のロベルト・レバンドフスキに譲り渡した主役の座を、ふたたび奪い返した。
 
 8月にはフランス代表からの引退を表明したリベリは、いま、リラックスしてバイエルンでのプレーを楽しんでいるようだ。同時に、バイエルンでのさらなるタイトル獲得と記録更新に意欲を燃やす。目標に向かって、さらにまっすぐに、真剣に――。ミュンヘンのグリューンバルト地区にある自宅にはトロフィールームがあり、そこにはこれまでに手にした全てのトロフィーが飾られている。そのコレクションにさらに彩りを加えるつもりだ。
 
 トロフィールームの隣には、ランニングマシンやサウナを備えたフィットネスルームもある。すべては、さらなる成功をつかむためにだ。
「僕はほぼ毎日、この部屋でトレーニングするか、ビーマー(ビデオプロジェクター)でサッカーを見ている」
 
 リベリの情熱は尽きない。
 
【記者】
Patrick STRASSER|Abendzeitung
パトリック・シュトラッサー/アーベントツァイトゥング
1975年ミュンヘン生まれ。10歳の時からバイエルンのホームゲームに通っていた筋金入りで、1998年にアーベントツァイトゥングの記者になり、2003年からバイエルンの番記者を務める。2010年に上梓した『ヘーネス、ここにあり!』、2012年の『まるで違う人間のように』(シャルケの元マネジャー、ルディ・アッサウアーの自伝)がともにベストセラーに。
【翻訳】
円賀貴子
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