【高円宮杯チャンピオンシップ】C大阪U-18が全国制覇! 柏U-18を上回った守備面での3つのポイント

2014年12月15日 平野貴也

C大阪U-18が持ち前のプレッシングスタイルを貫けた理由とは?

柏U-18を破り、初優勝を遂げたC大阪U-18。持ち前のプレッシングスタイルで柏のパスワークを封じ込んだ。(C) SOCCER DIGEST

 ふたつの育成コンセプトが真っ向勝負を展開した。WEST王者のC大阪U-18は、走力とプレッシングというベースの中で技術の発揮を促すチーム。対して、EAST王者の柏U-18は、圧倒的なボール保持とともに試合の主導権を握るスタイルをベースに、ゴール方向への力強さも加えようとしていた。
 
【高円宮杯チャンピオンシップPHOTO】 C大阪U-18 1-0 柏U-18

 両者が互いに持ち味を発揮したが、試合はC大阪がセットプレーのこぼれ球を押し込んだ1点を守り切って日本一に輝いた。C大阪の勝利の鍵は、守備にあった。常に相手ボールホルダーにプレッシャーをかける連動性は、見応えがあった。
 
 しかし、前半は30分を過ぎるとプレスバックが遅れて中盤で柏に主導権を握られた。決勝点を挙げた右MFの高田和弥が「守備でどれだけ粘れるか。攻撃はショートカウンターを狙っていた。でも、ボールを奪った後の攻撃はあまり機能していなかった」と話したように、高い位置で何度もボールを奪い切るような理想的な試合運びができたわけではなかった。
 
 それでも勝つことができたのは、なぜか。守備面に見られた3つのポイントを挙げておきたい。
 
ポイントその1。
まずは、柏のパスワークの生命線であるビルドアップをけん制するために、CBへのチェックを徹底した点だ。
 
 柏の下平隆宏監督は「ビルドアップに手間と時間がかかり、疲労も加わってフィニッシュのところまでパワーを持っていけなかった。いつもならストレスなく押し込めるのに、そこにたどり着かなかった」と攻撃面で加速し切れなかった要因を挙げたが、柏の攻撃力を削ぐ効果は大きかった。
 
ポイントその2。
押し込まれた時間帯など、苦しい場面での耐え方である。
 
 一時的にでも自陣に引いてブロックを作るのが単純な消耗回避策だが、FW前川大河は「WESTのリーグ戦で、あれだけパスを回されることはない。途中からは疲れもあって走れなくなったので(プレスに)行くところを決めて行った。とにかくGKからSBに入ったところで、サイドチェンジをされないようにして後ろを押し上げて、ボールを取ろうと思っていた」とプレスはかけるものの、活動範囲を狭めることでスタミナの消耗を抑えていたことを明かした。
ポイントその3。
 プレスを「何度も」ペースアップできた点が挙げられる。
 
 柏もロングパスで最終ラインの裏を突くなど、C大阪のプレスに対抗策を練らなかったわけではない。プレスが単調になれば、少しずつ慣れてくる相手に振り回される可能性がある。C大阪は唯一、前半の終盤だけは連続してピンチを迎えたものの、前後半の立ち上がり、そして試合終盤と得点が生まれやすい要点を押さえた。
 
 疲労によるペースダウンからの巻き返しではなく、相手との駆け引きの中で意図的にペースを変えられれば、攻撃面のクオリティーを上げる余裕も生まれたかもしれないが、育成の段階ではすべてを出し尽くすことで、自制の限界を突破する方が重要だろう。
 
 その点においても、鍛え上げた要素をすべて相手にぶつけ、EAST随一を誇る柏のパスワークを封じ込めて、勝利を手繰り寄せたC大阪の戦いぶりは見事だった。
 
取材・文:平野貴也(フリーライター)
 
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