【ルヴァン杯決勝|札幌】「それ以上にヤバかったです…」先制弾を挙げた21歳の菅大輝、跳ねのけた大舞台の重圧

2019年10月27日 佐藤香菜(サッカーダイジェスト)

自分のゴールに「ビックリした」

開始10分で先制弾を決めた菅。大きな緊張はこれでほぐれたという。(C)SOCCER DIGEST

[ルヴァンカップ決勝]札幌3(4PK5)3川崎/10月26日/埼玉スタジアム2002

 クラブ史上初めてのタイトル獲得を懸け、JリーグYBCルヴァンカップ決勝の大舞台に臨んだ札幌は、川崎に惜しくも敗れ、準優勝となった。

 主力メンバーの平均年齢が約25歳と若い選手が多いチームの中で、この日、札幌の先発メンバーでもっとも若かったのが、左ウイングバックを担った21歳の菅大輝だ。

 これほどのビッグマッチを戦うのは、自身のキャリアでもこれまで経験したことがなかったという菅は、前日の取材で「いつもの試合の10倍くらい緊張している」と、決勝戦に向けてかなり緊張していることを吐露していた。
 
 一夜明け、迎えた本番。

 会場の埼玉スタジアムには4万8119人の観客が集まり、華やかな開会セレモニーや両チームのサポーターたちによる素晴らしいコレオグラフィ―などが、選手たちのモチベーションを後押しした。

 開始10分、先制に成功したのは札幌だった。

 右サイドの白井康介がドリブルで相手陣内深くへ持ち上がり、阿部浩之とのマッチアップを制してゴール前へクロスを上げると、これに反応した菅が右足を一閃。シュートはクロスバーを直撃するも、GK新井章太に当たってそのままゴールに吸い込まれた。

「ビックリしました」

 自身の得点についての感想をこうひと言で表現した菅は、これが今季初めてのゴールでもあった。
「リーグ戦の中でも、同じような位置からのミドルシュートはけっこうあった。でもふかしたりしていたので……。まずは枠に飛ばすという、そこだけ意識して、あとは何も考えずに打ったから、良い感じのシュートになったのかなと」と振り返る。

 また、この日のピッチに立った時、実は前日以上に緊張していたという。
「昨日のさらに10倍です。それ以上に緊張してヤバかったですけど、あの一発が入ってくれて、緊張もだいぶほぐれてくれて、あれが入っていなかったらヤバかったかもしれないです。入ってくれて良かった」

 これで吹っ切れたのか、チーム最多のシュート3本を放つなど左サイドを活性化させ、このあと二転三転の末にPK戦にまで及ぶことになる激闘のなかで、チームのエネルギー源となった。

 残念ながら優勝という結果は伴わなかったが、いつもの100倍ともいう緊張を大きなパワーに変えた21歳は、初めてのビッグマッチという経験を経て、どんな風に成長していくのか。これからがとても楽しみだ。

取材・文●佐藤香菜(サッカーダイジェスト編集部)
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