【G大阪】「人生最大のスランプ」を脱した今野泰幸 三冠へ、油断は一切なし!

2014年12月12日 週刊サッカーダイジェスト編集部

「魂を込めてプレーしてくる相手に勝つのは相当難しい」

序盤戦の不調を払拭した今野。J1昇格で勢いに乗る相手に対し、警戒感を口にしている。 (C) SOCCER DIGEST

 重圧から解き放たれた今野は、三冠を懸けた一戦へ向け、待ちきれないような笑顔を見せた。
「楽しみでしょうがない。今はプレッシャーより楽しみが大きい。そういう時は、いいプレーができるんですよ。やっぱりサッカーは楽しまないと」
 
 シーズン序盤、本人が「人生最大のスランプ」と語る不振に陥った。ワールドカップではスタメン落ちを経験し、世界との差も痛感した。
 
 しかし後半戦、ボランチとして完全復活。躍動感の戻ったこの男が、リーグ、ナビスコカップ優勝の立役者であることは間違いない。
 
 自身も復活の理由には首をひねる。
「本当に分からないんです。でも強く感じたのは、サッカーはひとりではできないということ」。これまではチームが苦しい時、「ひとりで守れる選手を目指していた」と言う。
 
 しかし今は違う。
「組織って大事だなって、長谷川監督に気づかされました。ひとりじゃ何もできない。ちょっとしたポジショニングを、一人ひとりがしっかりやれば守れる。今はそれを強く意識しています」
 
 身体能力と鋭い読みを活かしたボール奪取が今野の持ち味だが、加えてスペースを埋めるポジショニングを徹底する意識は高くなった。攻撃面でも「止まることの大切さは学んだ。今までは調子が悪い時ほど、何かをしなくちゃって動いてしまっていたけど。俺が止まって、そこにいるだけで、ボールの回りが良くなることもあるんです。たぶんヤットさんはずっと前から気づいていたことなんだけどね」と語る。
 
 遠藤という国内屈指の司令塔の横でプレーを続けることで、チーム全体のバランスを見ながら攻撃を組み立てる術も吸収し、『守備の人』から脱皮しようとしている。
 
 自身の好調に加え、チーム状態にも大きな手応えを感じている。それでも油断は一切ない。
「負けない自信はある。でも昇格プレーオフを見たけど、山形は魂を込めてプレーしてくる。ああいう相手に勝つのは相当難しい作業になる」
 
 三冠を獲得することで、ジェットコースターのように昇降を繰り返した2014年を、最高の形で締めくくるつもりだ。

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