湘南に復調の兆し。新体制初陣を飾れず4連敗&7戦勝ちなしも…見過ごせないポジティブな変化

2019年10月23日 隈元大吾

「ここ数試合のゲームであれば、もう1、2点、失点していたところだったと思うが…」

神奈川ダービーでの敗戦後、重い足取りで引き上げる湘南の選手たち。だが、内容的には見るべきものもあった。写真:滝川敏之

「初陣」を勝利で飾ることはできなかった。湘南は新たに就任した浮嶋敏(うきしま・びん)監督の指揮のもと、前節・横浜とのアウェーゲームに臨み、1-3で敗北を喫した。

 神奈川ダービーの一戦は、ホームチームの怒涛の攻めで幕を開けた。横浜は仲川輝人ら前線の4人を中心に個人技を織り交ぜながら淀みなく攻め立てる。対して湘南は4-4-2のフォーメーションで臨み、連動しながら相手にプレッシャーをかけ、押し込まれればDF陣がゴール前で身を挺して粘り強く応戦した。


 ポゼッションを強める横浜と、守備から素早いカウンターを窺う湘南とが激しく渡り合う展開のなか、先にゴールをこじ開けたのは横浜のほうだった。39分、仲川が巧みに仕留めて先制すると、52分にはマテウスが直接フリーキックを沈め、さらに68分にはマルコスジュニオールがPKをねじ込んだ。

 前節の結果を受けて4連敗、7試合勝利なし、8試合続けて先制点を奪われていることなど、湘南の状況は依然として険しい。ただ、これまで走力や球際など自分たちらしさを内容に示したうえで結果を掴んできたチームにとって、この日の敗北のなかには見るべきものが随所に散りばめられていた。

 例えば相手の猛攻を受けた立ち上がり、左サイドバックの鈴木冬一が決定機をゴールライン際でかき出せば、主将の大野和成も身体を張ってシュートをブロックした。あるいはカウンターを浴びた先で岡本拓也がフィニッシュを阻んだ場面もあった。

 前半だけで4失点した28節・川崎戦、8分間で3失点した27節・清水戦と、横浜戦以前のここ2試合は早い時間帯に先制点を喫し、また立て続けの失点も目についた。かたやこの日は、先制されたあとも集中力を保って最少失点で折り返し、後半失点してもなお踏みとどまった。加えて後半アディショナルタイムには3試合ぶりの得点で一矢を報いてもいる。

 見過ごせないチームの変化に浮嶋監督も目を向けた。
「ここ数試合のゲームであれば、もう1、2点、失点していたところだったと思うが、最後疲労があるなかでボールを奪い、波状攻撃したという部分では、選手たちは本当によくやってくれたと思う。ここ2試合と比べれば自分たちらしさが戻ったのではないかと思います」

 求める結果が得られなかったことに対して、チームの表情は険しい。だが自分たちらしさが内容に表われずして勝点3は近づくまい。復調の兆しは確かに見えている。

取材・文●隈元大吾(フリーライター)
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