甲府に新たな切り札!24歳の若きブラジル人ドリブラーが終盤戦のニューヒーローとなるか?

2019年10月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

ウタカという絶対的なストライカーへのマークは厳しさを増している

甲府が今夏獲得した新助っ人のアラーノ。変幻自在のドリブルが得意なアタッカーだ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 例年に比べて静かな夏のウインドーを過ごした甲府。実質的な即戦力はポルトガル2部リーグのエストリルから獲得したブラジル人FWアラーノだけだった。ここまでは股関節に痛みが出たこともあり、1試合の先発、5試合の出場にとどまっているがピッチに立った時には攻撃のカードとして期待が持てるプレーを披露している。FWドゥドゥが怪我で離脱していることもあり、新助っ人の爆発はJ1昇格争いを繰り広げるチームにとって大きなポイントになりそうだ。


 デビュー戦となった29節・千葉戦では62分から出場し、ドリブルや懐の深いキープで3-0の快勝に貢献。右サイドからカットインして利き足の左で放つ強烈なシュートも見せているが、伊藤彰監督は「チャンスメーカーのつもりで獲得している」とこれからもシャドーストライカーなどサイドアタッカーとしての起用がメインとなりそうだ。33節の新潟戦では初先発を果たしたがビルドアップで下がりすぎる場面も散見され、消化不良のまま86分にピッチを退いた。交代時の表情は暗かったアラーノだが、試合後に「うまくプレーできず、自分に対して不満だった」と反省の言葉を残し、甲府で結果を残そうという高いモチベーションが感じられている。

 途中加入ではコンディションや戦術理解、連係で壁があるのも事実。それでもポルトガルやトルコでプレーしてきた24歳の若きドリブラーが甲府で輝く姿を想像することは難しくない。トレーニングから監督が求める戦術や狙いを理解しようとする姿勢が見え、実際にグラウンドで実行する能力にも長けている。伊藤監督もチームの戦いに順応しようとする姿勢を高く評価していて、シーズン終盤の戦力として計算できる選手なのは間違いないだろう。
 
 シャドーは曽根田穣や横谷繁に加え、森晃太や宮崎純真ら既存戦力が豊富。先発争いが最激戦区のポジションであり、アラーノの加入はそれら日本人選手にも刺激を与えているはずだ。ここまでのアラーノのプレーを見ると途中出場からのほうが攻守にやるべきことが絞られて思い切ってプレーできている印象があり、現状では後半の「切り札」としての投入が最善の活用策に映る。アラーノや金園英学といった前線でパワーを発揮できる選手がベンチに控えているのは、相手にとっても大きな脅威となるだろう。

 終盤に突入してウタカという絶対的なストライカーへのマークは厳しさを増している。2試合に1点以上のペースでゴールを量産するウタカが点を奪えない時……、昇格という目標を果たすために新たなヒーローの誕生は欠かせない。「甲府をJ1に連れて行くために来た」と力強く語るアラーノはそんな存在になってくれる可能性と期待感をまとっている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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