【生き残るのはどっちだ!?――J1残留争い】清水と大宮のサバイバル決戦を展望する

2014年12月05日 週刊サッカーダイジェスト編集部

守りに入るのだけは禁物の清水 & 吹っ切れた感のある大宮。

清水が有利な立場にいるのは間違いのない事実。あとはどれだけ雑念を振り払って、勝利だけを追い求められるかだ。 (C) SOCCER DIGEST

 前節にセレッソ大阪が力尽き、いよいよ降格するのはあと1チームとなった。
 
 J1最終節で生き残りをかけた戦いに臨むのは、清水エスパルスと大宮アルディージャ。勝点差は3、得失点差と総得点数は同じという状況で決着の舞台に上がる。
 
 先週末はJ1、昇格プレーオフと、劇的な結末が頻発したが、この最終決戦でもドラマが生まれる可能性は十分にある。
 
 同時刻で開始される運命の12月6日を前に、両チームの現状を見ながら、それぞれの戦いを展望してみよう。

――◆――◆――
 
15位 清水エスパルス
勝点35 10勝5分18敗 42得点・60失点 得失差-18
 
対 甲府(H)/15:30/アイスタ 前回対戦:○1-0(得点者/清=長沢) 
 
 引き分けでも残留が決まる状況は、間違いなく大宮よりは優位だ。しかも相手は、リーグ戦で8勝1分(カップ戦を含めれば通算10勝2分1敗)と相性抜群の甲府である。
 
 ただし、選手が揃って口にするように、「引き分けでもいい、ではダメ」である。もちろんカウンターからの失点などを避けるため、重心を後ろに置く必要もあるだろうが、気持ちがすべて守りに回るのは危険だ。
 
 ここまでの失点数からも明らかだが、清水はそもそも守備に難を抱えるチーム。臆さず、「自分たちがボールを長く持って」(大榎監督)試合を進めるべきだろう。攻守に高いテンションを保ちながら、ショートカウンターをまじえた攻撃に活路を見出して、甲府の堅守を崩したいところだ。
 
 C・ヨンアピンなど長期離脱中の選手を除き、特筆すべき怪我人は見当たらない。前節は出場停止だったヤコヴィッチも復帰し、現状のベストメンバーで臨める見込みだ。その試合で前半途中に交代した竹内も、今週は全体練習に合流している。
 
 布陣は4-1-4-1の採用が濃厚で、2列目にはよりボールを追える石毛や水谷の起用もあり得る。
 
 また、前回対戦でゴールを決めた長沢の復帰も心強いところ。先手を奪った状況なら失点のリスクを考慮したロングボールのターゲットとして、万一リードを許せば逆襲の切り札として、大いに期待がかかる。

文:増山 直樹(週刊サッカーダイジェスト)
16位 大宮アルディージャ
勝点32 8勝8分17敗 42得点・60失点 得失差-18
 
対 C大阪(H)/15:30/NACK 前回対戦:△1-1(得点者/大=ズラタン)
 
 前節・名古屋戦ではロスタイムに被弾し、勝点1すらも持ち帰れなかった。奇跡の残留を果たすには、最終節の勝利が大前提。そのうえで清水の敗北を祈らなければならない。
 
 守護神の北野、守備陣を束ねる主将の菊地の出場は今節も厳しそうで、降格が決定してモチベーションを上げるのが容易ではないであろうC大阪相手でも、苦戦が予想される。
 
 ただし、劇的敗戦で5試合勝ちなしとなったものの、チームの雰囲気自体は悪くない。勝利のみが求められるとあって、逆にやるべきことがシンプルになり、余計なものは削ぎ落とされた感すらある。
 
 C大阪のここ最近の戦いを分析すると、SBが上がった裏を使われるケース、そしてダブルボランチのバランスの悪さから失点するケースが目立つ。先制点を奪われて前がかりとなったスペースを突かれる場面も散見されるが、総じて、守備がルーズだと言えるだろう。
 
 サイドに起点を作ってから攻撃を展開する大宮にとって、これほど戦いやすい相手もないはずだ。
 
 問題は、決定機を決め切れない勝負弱さか。最近は攻め込んでいる時間帯に追加点を奪えず、相手に流れを渡してやられる試合が多い。いつものようにもたもたしていると、攻撃力には定評のあるC大阪の前線に守備網をズタズタにされる可能性も。
 
 なんにせよ、勝利なくして残留はない。FC東京戦で見せたような球際の激しさと堅守速攻で奇跡を起こしてほしい。

文:古田土 恵介(週刊サッカーダイジェスト)
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