イニエスタ中心のチーム作りは魅力的だが… フィンク体制3連敗。神戸が勝てない理由は何か?

2019年07月22日 白井邦彦

フィンク監督就任後の6試合で12失点… 原因は守備面にあるのか?

横浜戦では相変わらずの“魔術師”ぶりを見せつけたイニエスタ。だが、チームは3連敗で結果が伴わず。写真:徳原隆元

 横浜F・マリノス戦を0−2で落とし、ヴィッセル神戸は3連敗となった。フィンク体制での戦績は2勝1分け3敗。シーズン後半戦では未だに勝点を積み上げられていない。この状況は何が原因だろうか。新体制下での6試合から考えてみたい。
 
 キャプテンのアンドレス・イニエスタは横浜戦の後に「特定のミスを減らしていかないと試合に勝つのは難しい」と振り返った。この試合ではGK前川黛也が痛恨のミスを犯し、結果的に2失点している。
 
 だが、イニエスタは何も前川のミスを話しているわけではない。5−3で勝利した名古屋戦でも初瀬亮とキム・スンギュの連係ミスで失点している。前々節の湘南戦では西大伍のクリアミスが失点にもつながった。
 
 フィンク監督は自身のUEFAチャンピオンズ・リーグでのミスを引き合いに出し、「サッカーにミスは付き物。試合中にいろいろな場面でミスはある。今日(横浜戦)は2つのミスが失点につながってしまったが、私たちはチームとして勝って、チームとして負けるので一人の選手を責めることはできない」と話している。その通りだ。
 
 もちろん、個人のミスによって試合が難しくなるケースはある。だが、それは相手チームも同じ。お互い様だと考えると、神戸の3連敗の原因はほかにあると思われる。6試合で12失点の結果を見ると、どうしても失点が原因のように見えるが、むしろ得点できていないことの方が敗因かもしれない。横浜戦は今季3度目の無得点に終わっており、イニエスタがフル出場した試合としては今季初の0点。ダビド・ビジャもウェリントンも古橋亨梧もフル出場している。このメンバーで無得点というのは、失点以上に問題と言える。
 
 そもそも今の神戸はたくさん点をとって勝つことを理想としている雰囲気がある。3−1で敗れた湘南戦の後、フィンク監督が「名古屋戦の様に失点が多くても、相手より点を多く取れば結果は問題ない」と話していることからも、その傾向は窺える。
 
 つまり、1−0で勝ったFC東京戦よりも、5−3で勝った名古屋戦の方が美徳とされるわけだ。
 
 それを踏まえて負けた3連敗を見ると、得点はわずか2点で失点は7。逆にフィンク監督就任直後の「2勝1分け」の3試合は8得点・5失点と得点が先行している。やはり得点が減っていることが敗因のひとつと考えられる。

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