アカデミー出身者が支える大宮アルディージャの屋台骨。今季は実に10人がトップチームでプレー

2019年07月20日 松澤明美

クラブ創設21年目を迎えた今シーズンは、過去最多10人のアカデミー出身者が所属する

首位の京都と勝点差1の4位につける大宮。下部組織出身者がチームを支えている。写真:滝川敏之

 下部組織・大宮ジュニア1期生の大山啓輔の喜びはひとしおだった。
 
「俺みたいな立場の選手が一番、幸せを感じる瞬間。最終的にピッチに立った大方の選手が育成から上がった選手で、すっきりした勝ち方ができたのも大きい。そういう選手たちでこのチームを盛り上げていきたいとずっと昔から思っていた」
 
 大宮アルディージャが7月13日の鹿児島ユナイテッドFC戦で、クラブ史上最多6得点のゴールショーを演じて完封勝利を飾った。その中心となったのはオレンジの遺伝子たちだ。副主将の大山がキャプテンマークを巻き、彼を含めた計7人のアカデミー出身者が、先発と途中出場でプレーした。ルーキー吉永昇偉はプロ初ゴールを決め、奥抜侃志がチーム3得点目を挙げるとスタンドのボルテージは最高潮に。リーグ初出場の加藤有輝が守護神を務め、石川俊輝、小島幹敏、高山和真が力を振り絞る姿はサポーターを熱くさせた。

 クラブ創設21年目を迎えた今シーズンは、過去最多10人のアカデミー出身者が所属する。2002年にトップ昇格したユース1期生の金澤慎を筆頭に、ジュニアユース1期生の渡部大輔(ユース7期生)、石川(9期生)、大山(13期生)、高山、小島、小野雅史(14期生)、加藤(15期生)、奥抜(17期生)、吉永(18期生)が並ぶ。他クラブへ期限付き移籍している川田拳登(栃木SC)、黒川淳史(水戸ホーリーホック)、藤沼拓夢(ブラウブリッツ秋田)=15期生、山田陸(AC長野パルセイロ)=16期生=を含めれば計14人が活躍中だ。
 
 アカデミー出身者の躍進はクラブが目指すところでもある。今シーズンの新体制発表会で森正志社長は「ユース出身者、大学から、高校から、大宮アルディージャに入団した地元の若手をしっかりと育てていくこと」を取り組みの一つに挙げていた。さっそく成果が出始めており、6月29日のツエーゲン金沢戦ではアカデミー出身者が今季最多の8人もメンバー入り。金沢戦後に高木琢也監督は、「(アカデミー出身者は)チームの財産。1人でも2人でも吸い上げていくことによってチーム全体が活性化されていく」と好影響を口にした。

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