後半戦での巻き返しなるか⁉16位からのJ1昇格を狙う町田のエース・富樫敬真の覚悟

2019年07月17日 郡司 聡

今季は“町田対策”を凌駕できずに、勝点を落とす試合が少なくない。

キャプテンマークを巻く富樫は、「今は変化を加えているがゆえに苦しんでいる」と語った。写真:滝川敏之

 後半戦のスタートとなったホームでのアビスパ福岡戦を前に、富樫敬真はこんなことを言っていた。
 
「誰もこの順位(16位)に納得はいっていないし、後半戦でこの結果を覆していきたい。僕たちに失うものはないし、前半戦の悔しさをバネにして、ここから這い上がっていくために、ギアをもう一つ上げていくことが大事。掲げた目標(J1昇格)を信じ切って、毎日を過ごしていきたい」
 
 こうして迎えた福岡戦。FC町田ゼルビアは34分にFKから失点を喫すると、後半立ち上がりの51分にもボールロストから鋭いカウンターを食らい、2点目を奪われてしまう。2点のビハインドを背負った町田は、重心を後ろに傾けて守りに入った福岡を崩し切れず、反撃の後半戦は0-2での敗戦スタートとなった。
 
 福岡戦での富樫は左腕にキャプテンマークを巻き、先発出場。序盤から敵陣深くで起点を作るために、チームが相手の背後へのロングボールを多用した中で、ボールをキープして起点を創出し、福岡ディフェンスを破ろうと必死に打開を試みた。しかし、結果は敗戦。富樫自身も53分に交代でピッチを去っている。

 昨季4位だった町田は、ブレないチームコンセプトの下、戦い続けてきたことで相手の研究も進み、今季は対戦相手の"町田対策"を凌駕できずに、勝点を落とす試合が少なくない。特に今季は相手の背中を取って、敵陣深くで起点を作る狙いを持つ町田に対して、背後のスペースを意図的に消してくるチームも多い。"背後最優先"が難しくなっている町田は、空いたスペースを有効に使いながらボールをつないで相手を崩す"次なる一手"にも取り組んでいる。しかし、つなぐ過程でボールを失い、そこからカウンターで失点を喫するなど、完成途上が故のもどかしい現実に直面している。富樫は言う。

「相手は今まで以上に町田のやり方に対して、対策を取ってきている。ただいい捉え方をすると、それだけ相手は町田をリスペクトして臨んできている。今はそれに対して、変化を加えているがゆえに苦しんでいる。トライ&エラーを繰り返している段階だけど、そこでネガティブにならずにこれからもやっていくつもりだし、今を乗り越えた先に、一気に変わると思っている。サポーターにはもどかしい思いをさせる時期は長かったけど、少しずつ今の状況を覆せるチームになってきていると思う」

次ページ思えば今季の開幕戦でゴールをこじ開けたのは富樫の“個の力”だった。

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