「僕は姉のような勝者になりたくて…」マドリー新加入、ヨビッチの幼少期を襲った壮絶な体験

2019年07月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

少年時代の憧れは“怪物”ロナウドだった

今夏に鳴り物入りでマドリー移籍を果たしたヨビッチ。ポスト・ベンゼマの最有力候補だ。(C)Getty Images

 今夏、レアル・マドリーが獲得した目玉選手のひとりが、セルビア代表FWのルカ・ヨビッチだ。長谷部誠が所属するアイントラハト・フランクフルトでゴールラッシュを決め込み、チームの躍進に多大な貢献を果たした。移籍金6000万ユーロ(約75億円)+出来高で迎えられた、カリム・ベンゼマの存在を脅かす次期エース候補である。
 
 現在ヨビッチは、カナダ・モントリオールでのサマーキャンプに参加中だ。新天地で猛アピールを続けるなか、アメリカの人気サイト『THE PLAYERS’TRIBUNE』に登場した。プレーヤーがモノローグ調にみずからのキャリアを紐解くメディアで、ヨビッチは思いの丈を明かしている。
 
 そのなかで、21歳のストライカーは「これまであまり話してこなかったんだけど……」と切り出し、ひとつのエピソードを紹介。かつて実の姉が大病を患った事実で、そのことが、ヨビッチ少年のキャラクター形成に大きな影響を与えたと考えている。
 
「たしか9歳か10歳の頃だった。姉の白血病が発覚したんだ。僕の家族の歴史のなかでも一番つらい時期で、とても大きな出来事だった。母は仕事を辞めて姉の看病に専念して、家族とは一年近く離ればなれで暮らすことになってね。僕は父と祖父と暮らしていたけど、あの寂して悲しい日々はいまでも忘れられない」
 
 やがて、レッドスター・ベオグラードのジュニアチームでプレーしていたヨビッチ少年に、朗報がもたらされる。姉が白血病を克服したという知らせだ。
 
「心の底から嬉しかったし、姉を誇りに思った。僕も彼女のような勝者になりたい、強くありたいと願った。誰にも負けない精神力を身に付けたいとね。当時の周りの子どもたちがみんなそうだったように、いつかレッドスターのユニホームを着て、宿敵パルチザンとのダービーでゴールを挙げたいと、強く願うようになったんだ」

 
 ただ、レッドスターの財政事情によって18歳でベンフィカに売却された際は、「まだまだ家族の近くにいたかったからね……。リスボンでは正直、ホームシックで毎日涙を流していた」という。
 
 そのほか、父親が経営していたスーパーマーケットが経営難に陥ったときに親戚が資金援助してくれたこと、小さい頃の憧れが"怪物"ロナウドであったことなどを赤裸々に告白。「人間には持って生まれた才能が誰にだってあると思う。僕の場合はゴールを決める才能だった」とも語っている。
 
 年齢に似つかわしくない、威風堂々たる雰囲気があるヨビッチ。はたしてセルビア期待の星は、名門マドリーでビッグサクセスを掴めるのだろうか。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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