浦和、大逆転の口火を切った宇賀神友弥の高精度クロス。敵キーマンを出し抜いた「駆け引き」の妙とは?

2019年06月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

スタメン発表は当日のランチミーティングだった

興梠への好クロスで逆転劇の口火を切った宇賀神。(C) Getty Images

「この状況で、この結果を残せたことを誇らしく思えます」と、浦和レッズのMF宇賀神友弥は充実感のある表情で話した。浦和は敵地に乗り込んだ26日のACLラウンド16の第2戦で蔚山現代に3-0で勝利し、2戦合計4-2での勝ち抜けを決めた。ビハインドを跳ね返した一戦の先制点は、宇賀神のクロスから導かれた。
 

 41分、右サイドでボールを受けた宇賀神には相手のサイドアタッカーであり、初戦でも強烈なスピードを見せつけたキーマン、7番のキム・インソンが寄ってきた。この試合の中で何度も見られたマッチアップで、宇賀神はそれまではキムを引き付けては後ろや中央を使って次の展開を作ろうとしていた。しかし、それは「ここ」という場面を待つ駆け引きの「引き」の部分だった。
 
「どこかで縦に一発いってやろうと思っていたんですけど、7番の選手はあのポジションの出し入れでかなりハードワークしていて、アシストのところでも『どうせ戻すだろう』という感覚があったんだろうと思うんですよ。岩波選手のパススピード1つで相手の深いところに入れましたし、相手の7番を動かす意味でもバックパスをするとか、やりながらの駆け引きでコントロールできたと思います。彼のスピードは非常に危険だったので、それを減らすのが僕のタスクでもあったので」
 
 
 こうやって相手のキーマンに足を使わせてスタミナを奪いながらプレーしていた宇賀神は、ついに「駆け」の突破に出た。一瞬のキレでキムを縦に外すと、そこから相手のマークを外した興梠慎三へ「(マークを)外す動きは最後まで見えなかったけど、ニアを越せば入ってきてくれる」とドンピシャのクロスを供給。最低でも2得点が求められる中、ハーフタイムを目前にしての1点は浦和には勇気を、蔚山には恐怖感を与えた。
 
 そもそも大槻毅監督によってチームへ試合のスタメンが告げられたのは、当日のランチミーティングだったという。普段は前日練習で大体のスタメンが選手たちにも伝わるが、この試合に関しては宇賀神が「昨日の夜、誰が出るんだとみんなで話していて」と話すほどだった。それでも宇賀神には10年を超えるキャリアの経験があるからこそ「自分のできるすべてのポジションの準備をしていました」と、頭と身体の準備を整えていたから、いきなりの右サイド起用でも試合のポイントを整理して入ることができた。
 

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