【鹿島】あのパトリックを吹き飛ばす力強さ――CB関川郁万が示した確かな成長

2019年06月26日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

こうした一つひとつの経験が成長の糧に

DFとして3失点にはもちろん納得はいっていないが、4月のデビュー戦に比べ、関川(33番)は間違いなく成長した姿を見せた。写真:滝川敏之

[ACLラウンド16]広島3-2鹿島/6月25日/広域公園
 
 結果的にベスト8には進出できたが、試合としては2-3の逆転負け。「3失点したのは自分のせいですけど」と、高卒ルーキーのCB関川郁万は悔しさを滲ませた。
 
 突然の出番だった。広島とのラウンド16の第2戦、関川はベンチスタートだった。だが、開始4分にチョン・スンヒョンが負傷。途中出場でピッチに立ったが、「試合前にアップもやっていたので。すんなり入れました」と振り返る。
 
 この"試合の入り方"は、関川にとって重要なポイントだったはずだ。水戸とのプレシーズンマッチを除けば、今回の広島戦が公式戦2試合目。記念すべきプロデビュー戦は、約2か月前の4月24日、ACLのグループステージ4節、ホームでの慶南戦だった。
 
 先発だった関川は、ゲーム序盤に自らのミスで危ない場面を招いてしまい、「自分の中では、上手く試合に入れなかった」と反省の弁。その苦い経験があったからだろう。広島戦後のミックスゾーンでは、「上手く試合に入ろうっていうのは、ひとつあった」「すっと入れたのは良かったかなとは思います」と繰り返した。
 
 その言葉通り、とりわけ前半は劣勢の時間帯が長く続くなかでも、集中したディフェンスでゼロに抑えた。3つのゴールを許した後半は、さすがに本人も思うところはあるようだ。3失点目はパトリックにPKを決められたが、自陣ボックス内で後ろからパトリックを倒してファウルを取られたのは、他でもない関川だった。
 
 ただ、フィジカルに優れる関川らしい力強いディフェンスもあった。
 

 80分、パトリックが迫力を持ってドリブルで侵入してくると、スピーディかつパワフルな寄せで相手にぶつかってピンチを阻止。パトリックは倒れ込み、広島のベンチサイドはファウルを主張。たしかに際どいプレーだったかもしれないが、記者席からは正当なショルダーチャージに見えた。
 
 本人に焦りはなかったという。「ほぼ縦しかないと思っていた」と冷静でもあった。もっとも、プロのレベルを改めて痛感したのも事実だった。
 
「高校生の時なら、あそこで身体を入れられるんですけど、そこはやっぱりプロの選手とか、レベルの高い選手になってくると、自分が入り込めないようなスピードだったり、手や身体の使い方をしてくるので。で、そういう風(ファウル)に見えちゃったのかもしれないです」
 
 いずれにせよ、こうした一つひとつの経験が成長の糧になるはずだ。
 
「上手く試合に入れて、試合を通して自分の良さも出して、周りの声も聞いて、自分から発信できたのは、4月に比べて、自分がちょっとできるようになった部分かなと思います」
 
 少なからず手応えは掴んだ。次にピッチに立った時も、また逞しくなった姿を見せてくれるはずだ。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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