覚醒の予感漂う甲府の新星!宮崎純真がJ1昇格を狙うチームの「ジョーカー」に

2019年06月22日 サッカーダイジェストWeb編集部

縦への推進力、ドリブルという持ち味には伊藤彰監督も一目を置く

山形戦でJ初ゴール!宮崎は着実に実力を伸ばしている。写真:徳原隆元

 覚醒を予感させる活躍ぶりを見せている。今季、山梨学院高を卒業して加わった宮崎純真。17節の山形戦で出場3試合目にして初ゴールを決めた期待のルーキーは、着実にプロとしての階段を上がっている。「世界で活躍する」。そんな大きな志を胸に、貪欲なプレーを見せる背番号19のキャリアは始まったばかり。J1昇格を目指すチームの「ジョーカー」として中盤、終盤戦の活躍に期待がかかる。
 
 先述の山形戦。ドゥドゥの怪我で41分からピッチに立つと、待望の瞬間は62分だった。左クロスに右足で合わせて両腕でガッツポーズを作りながら、ベンチへと駆ける。簡単ではないシュートを決め切る確かな技術と、ゴールへの嗅覚が凝縮されていた。
 
 高校時代に何度もプレーした山梨中銀スタジアムのピッチ。プロとして初めて立った試合でゴールを奪った。「(最後にプレーしたのは高校3年の)選手権県予選。負けた場所であり悔しい思いをぶつけるという思いだった。少しはそれができた」。サッカーを始めるきっかけとなった祖父・大関友司さんも見守る中での一発だった。
 
 昨夏のインターハイでは山梨学院高のエースとして優勝に導いた。ただ、開幕前のキャンプではプロのスピードに戸惑いを隠せなかった。「ついていくために頭が(パンクしそうで)やばいです」。そんな言葉も漏れていた。それでも縦への推進力、ドリブルという持ち味には伊藤彰監督も一目置いていた。「一芸はあるのでそれはすごく楽しみ」。

 練習では戸惑う場面もまだあるが、ピッチに立つと迷いは消えている。縦へと積極的に仕掛け、相手を置き去りにする。強引さだけではなく、落ち着いてパスも選択できる。ボールを持つと、スタジアムの歓声のボルテージが上がり、「何かをやってくれるんじゃないか」という期待感が大きくなる。身長173センチ、体重66キロ。決して大きくはない。自分より大きい相手にもひるまずに身体をぶつけ、スプリントを繰り返す。すべてを器用にこなそうとするのではなく、自分ができることに全エネルギーを注入している姿が存在感のあるプレーにつながっている。
 
 ゴールという結果をつかみ、次なるステップは先発での出場だろう。「守備で走りすぎて攻撃に全力でパワーをぶつけられなかった。ポジショニングを改善していけば後半までしっかり戦えると思う」「チャンスは毎試合ある。それを決め切れるかどうか」。前半から出場した山形戦を経て、何が必要かという問いに対し、冷静に自身の課題を口にした。個の能力は十分にプロの世界でも通用することを示せている。組織として、グループとしてのプレーがいかにできるか。チームの守備戦術をスムーズに体現できるか。良さを消すことなく、チームの中で生きる術を見いだした先に、さらなる飛躍は待っている。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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