重要極まりない“U-20W杯後”。東俊希を例に紐解く、若手がこれからすべきこと

2019年06月19日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

U-20W杯の経験を、チームにどう還元できるか。

U-20ワールドカップに出場した東は、広島で出場機会を伸ばせるか。写真:徳原隆元

 5月下旬から6月上旬にかけて行なわれたU-20ワールドカップで、日本は韓国に敗れてベスト16で大会を終えた。韓国戦後に選手たちが発したのは、当然ながら「今大会で得た収穫と課題をチームに持ち帰って頑張りたい」というような趣旨の言葉だった。

 帰国後のJ1リーグ15節、湘南の齊藤未月と鈴木冬一は広島戦で先発し、G大阪の中村敬斗が磐田戦で初スタメン。18日には名古屋の菅原由勢がオランダ1部のAZアルクマールに期限付き移籍を決めるなど、各々の道に進んでいる。そんななか、ACLラウンド16鹿島戦の第1戦で途中出場した、広島の東俊希に話を聞いた。

「U-20ワールドカップはチームとしても、個人としても満足する結果は得られなかった。チームに戻ってさらに危機感というか、頑張らないといけないという気持ちはありました」

 グループステージ初戦のエクアドル戦と第3戦のイタリア戦では左サイドバックで先発し、決勝トーナメント1回戦の韓国戦では88分から途中出場。「各試合の自己評価としても、満足する結果ではなかった」とも述べ、東は世界大会を振り返る。やはり、悔いているのは、自分の良さを出し切れなかったところにある。
 
「自分の特徴は攻撃。(広島では)そこを見せれるように、守備も貢献しないとチームで使ってもらえないので、そこは意識して取り組んでいます」
 
 そして、帰国後の湘南戦ではベンチ外だったが、ACLの鹿島戦では80分から左ウイングバックで途中出場。しかし、「相手も味方も右サイドに集中していた。仲間に自分から伝えないとボール来ないのかな」と言う通り、上手く攻撃に絡めないまま見せ場を作れなかった。

 経験豊富なベテランや中堅もいるチームでは、競争は熾烈だ。若手がなかなか出番を得られないのも現実である。そんななか、同世代が集まる世界大会で、自らの武器と課題を再確認できたに違いない。「ドリブルは通用すると分かった」というG大阪の中村は、その長所を前面に出して磐田戦で初先発を飾り、果敢な仕掛けを見せていた。世界で見えた課題を日常の舞台であるJリーグで活かした良いモデルだ。
 
 だからこそ、東も自らの武器はクロスなどの「キック」と述べ、「自分の特徴を出すためには、まずボールに触らないといけないので、そこはもっとボールを触れるようにしたい」とこれからの取り組みに目を向けた。
 
 U-20ワールドカップはかけがえのない経験だったはずだ。東が「自分の特徴を出すために」と述べたように、世界大会で確認できた武器を、どんどんアピールしてほしい。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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