【清水】篠田監督の“修正力”に脱帽。ふたつの決断から読み解く横浜戦の勝因とこれからの戦い方

2019年06月16日 古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

劇的勝利の裏側には“ふたつの決断”があった

的確な采配と勇敢な決断でチームを勝利に導いた篠田監督。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 6月15日、清水エスパルスが89分からの2ゴールで横浜F・マリノスに3-2で逆転勝利を収めた。試合開始前の両者の順位は清水の18位に対し、横浜は3位だったのだから、今節の対戦のなかでも番狂わせと言ってもいい結果だろう。
 
 まずはスタートの立ち位置を見ていく。GKは西部洋平で、DFは右からエウシーニョ、ファン・ソッコ、二見宏志、松原后。ボランチにヘナト・アウグストと竹内涼が並び、2列目は右から金子翔太、北川航也、中村慶太。最前線にはドウグラスだ。

 前述した通り清水が3-2で勝利を収めたわけだが、もちろん決勝弾を決めた西澤健太や1ゴール・1アシストのドウグラスの活躍は、勝利の立役者と呼ぶにふさわしいものだろう。ただ勝敗を分けた一番のポイントは、0-1のビハインドで迎えたハーフタイムでの篠田善之監督の"ふたつの決断"ではないだろうか。
 
 まずひとつ目はハーフタイムで中村を西澤に代えたこと。ただ篠田監督曰く「(中村)慶太は少し打撲をしていて、かなり痛みが強くなった。やろうと思えばやれたが、少し不安があった」と状態が万全なら変えるつもりはなかったという。このアクシデントで投入された西澤が後に決勝点を挙げることになる。

 そして前半、気掛かりだったのはR・アウグストと竹内の両ボランチが、横浜のトップ下のマルコス・ジュニオールに気を取られ過ぎていた点だ。その結果、篠田監督は「(トップ下の北川)航也の横でボランチの天野(純)選手と喜田(拓也)選手がボールを受けて一気にはがされてしまう」と頭を悩ませた。

 そこでふたつ目の決断があった。スタートの4-2-3-1の布陣を後半から4-1-4-1に変えたことだ。並びはGK、DFライン、最前線のドウグラスは前半と同じ。中盤はアンカーにR・アウグストで、2列目は右から北川、金子、竹内、西澤の4人。

 そうすることで「ヘナト(・アウグスト)には『前に行け』と。(M・ジュニオールは)背中で見ておいていいので、CBで2対2の状態を作ってもいいので。(前に)行けということでハマったのではないかと思っています。それで守備に推進力が出た」と篠田監督は話す。
 
 特に金子と竹内のふたりで相手のボランチにプレッシャーをかけられたことで相手の"心臓"を消すことができた。これはR・アウグストの広範囲をカバーできる走力でバイタルエリアを消せるからこそ、なせる業でもある。
 
 この"ふたつの決断"があったからこそ徐々にリズムを掴み、89分からドウグラスと西澤の2ゴールが生まれた。劇的な勝利を呼び込んだのだ。
 

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