“ミスターレッズ”と並び“キングカズ”を超えた。浦和の興梠慎三が次に目ざすのはかつての同僚

2019年06月16日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「浦和レッズと言ったら興梠慎三と言ってもらえるように」

後半アディショナルタイムに劇的な決勝ゴールを決める。見事にチームを逆転勝利に導いた。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ15節]浦和2-1鳥栖/6月15日/埼玉スタジアム2002
 
 浦和レッズは6月15日、J1の15節でサガン鳥栖と対戦。18分に先制点を献上するも、31分に同点とすると、後半アディショナルタイムに劇的な決勝ゴールを奪い、見事に逆転勝利を収めた。
 
 1-1で迎えた90+3分、チームに歓喜をもたらす値千金の逆転弾を決めたのは、興梠慎三だった。
 
 相手に当たってペナルティエリア内に弾んだボールを巧みにダイレクトで合わせる技ありゴール。殊勲のエースは、「僕のところに来たので冷静に決めるだけだった。疲れていたので逆にリラックスして打てた。ああいう場面で落ち着いて決めるのがFW。良いゴールだった」と振り返る。
 
 チームを勝利に導く価値ある得点だったが、それだけではない。興梠にとっては浦和でのJ1通算91ゴール目。なんとクラブ創設期から14シーズンに渡って活躍した"ミスター・レッズ"福田正博と並ぶ記録的な得点である。
 
 興梠は「自分のなかの目標で、肩を並べたことはすごく嬉しく思います。でもサポーターからしたら、やっぱり福田さんは頂点の存在。ここから10点、20点、30点と得点で差をつけて、浦和レッズと言ったら興梠慎三と言ってもらえるように頑張っていきたい」と、クラブのレジェンドに敬意を払いつつも、自らが新たなシンボルになる気概を語る。
 

 興梠がこのゴールで成し遂げたのは、クラブ史上最多タイだけでない。"キング・カズ"こと三浦知良を超える、歴代6位のJ1通算140点目でもあったのだ。
 
 これにも興梠は喜びを隠さない。「嬉しいですね」とほほ笑むと、さらに「まだ上には上がいるので、ひとつでも上にいけるように」と意気込む。
 
 次に目指すのは5位の152点。鹿島や神戸で活躍したマルキーニョスの記録だ。鹿島時代の興梠のチームメイトでもある。
 
 FWでコンビを組んでいた、このブラジル人ストライカーについて興梠は「お手本とする選手でしたし、今でもあの2トップは忘れられない」と感慨深げに語った。
 
「並べるように、越えられるように、頑張っていきたい」
 
 浦和のエースはどこまで記録を伸ばし続けるのか。今後の活躍に注目したい。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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