インザーギ監督、メネーズ、アバーテ……ミランのキーマンたちが語る本田圭佑

2014年10月28日 パオロ・フォルコリン、マルコ・パソット

「本田をミランに持てたことに満足している」(インザーギ監督)

歓喜の輪の中心に立つことが多い今シーズン。ファンはもちろん、チーム内での評価も高まる一方である。 (C) SOCCER DIGEST

 セリエA第8節を終えて6得点。そのゴールも、右、頭、左、FKと多彩であり、7節のヴェローナ戦では2ゴールを挙げて、ストライカーとしての資質を十分に示した。また、持ち前のフィジカルの強さ、判断力の良さでチャンスメイクにも貢献する他、これを守備にも活かしている。
 
 さらに、スピードの欠如を弱点に挙げられるも、チャンス時には誰よりも速くゴール前に走り込み、1対1では対決を避けることなく、テクニックとタイミングで相手を置き去りにする場面を何度も見せている。
 
 崖っぷちからスタートした2014-15シーズンの本田圭佑だが、今やチームのキーマンとして重宝、注目される存在となっている。その変貌理由の分析は別に譲るとして、ここではミランのなかでも本田と深く関わり、また本田とともにチームの鍵を握る存在である5人に、現在の本田評を聞いた。
 
◆フィリッポ・インザーギ監督
 ミランの監督に就任した時、本田に関しては、正直あまり良い話は聞かなかった。「使い方が難しい」「気取っていてあまり仲間と馴れ合わない」等々……。
 
 しかし、私は自分の目で確かめることを常としている。そして私が知った本田は、噂とはまるで違った。テクニックの高さは知っていたが、戦術的にこれほど使えるとは思っていなかった。彼はサイドでも、センターでも自在にプレーできる。
 
 本田という選手を自分のチームに持てたことに、私は非常に満足している。
 
◆イグナツィオ・アバーテ(SB
 俺とケイスケは右サイドでとてもうまく機能していると思う。昨シーズンの、半年の"試運転期間"を経て、互いの動きをしっかり呑み込むことができた。
 
 守備でも手を貸してくれるようになったから、俺も大いに助かっている。俺が上がる時はケイスケが敵を引きつけ、攻め上がるためのスペースを作ってくれるんだ。
 
 これまでケイスケは、不当とも思われる非難を受けてきた。ただ、彼はイタリアとはまるで違うリーグから来た点を忘れてはいけないし、移籍後も様々なことが起こり、息つく間もなかったはずだ。壁にぶつかってしまうのも当たり前だよ。
 
◆ナイジェル・デヨング(MF
 今のケイスケの活躍をうれしく思うよ。良い選手であることは分かっていたから、必ず素晴らしいプレーを見せてくれるようになると確信していた。
 
 ケイスケは今のミランの基礎ともなる選手で、チームにバランスを与えてくれる。ミランに来たばかりの頃に比べると、かなり守備も上手くなったね。
 
 俺の使命はアンカーとしてDFを守ることだけど、そんな時もケイスケは労を惜しまず手を貸してくれる。自分に望まれているプレーは何かをよく理解しているんだ。
 
◆リッカルド・モントリーボ(MF
 ケイスケは才能あるレフティだが、何よりも優れている資質といえば、"戦術的インテリジェンス"だろう。それが巧みなテクニックと相まって、どんな難しい状況にでも対応し、その左足でどこでも望む場所に自在にボールを送ることができるんだ。
 
 この前(6節)のキエーボ戦で決めたFKなんかはその良い例だ。彼がシュートを決めたのは、左足で決めるには非常に難しい場所だった。
 
 その他にも、ケイスケはあとふたつの重要な武器を持っている。いつボールを出したら良いかという絶妙なタイミングのセンスと、チームのためならばどんな犠牲も惜しまない忠誠心だ。
 
◆ジェレミー・メネーズ(FW
 右サイドのポジションを巡って俺とケイスケがライバル関係にあるみたいによく言われているけど、ミランのアタッカーは俺たちも含めてみんな優秀だから、ライバルというのならそれは全員だろうね。
 
 今シーズンからロッソネロの一員になった俺は、ケイスケが昨シーズンぶち当たった問題を知らないけど、今の彼を見る限り、すごく有能な選手だと思う。チームのために貢献し、ゴールするために常に最高のコンディションであろうとしている。
 

取材・文:パオロ・フォルコリン、マルコ・パソット
翻訳:利根川 晶子

※週刊サッカーダイジェスト2014年11月4日号より
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