「ウッドワードCEOはフットボールを知らない人間!」智将ファン・ハールが古巣マンUの体制に苦言

2019年06月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

「商業的な観点からしか見ていない」

就任時に笑顔でガッチリと握手を交わしたファン・ハール(左)とウッドワードCEO(右)。だが2年で袂を分かつ結果となった。 (C) Getty Images

 強き"レッドデビルズ(赤い悪魔)"を取り戻すためには、フロンロ陣を含めた抜本的な改革が必要なのかもしれない。

 現地時間6月1日、名将ルイス・ファン・ハールが、英紙『The Guardian』の取材で古巣マンチェスター・ユナイテッドの現体制に苦言を呈した。

 現在67歳のファン・ハールがユナイテッドの指揮官を就任したのは、2014年5月。アレックス・ファーガソンの長期体制の後を継いだデイビッド・モイーズ政権が失敗に終わり、その後任として迎えられたのだった。

 ファン・ハールはユナイテッドと3年契約を締結。2年目の15-16シーズンにFAカップを制したものの、チャンピオンズ・リーグ(CL)でグループステージ敗退に終わったうえ、翌シーズンのCL出場権も逃したことで、解任の憂き目に遭った。後に「選択を間違えたかもしれない」と振り返っている。

 ファン・ハール解任後にユナイテッドに着任したジョゼ・モウリーニョの戦績が振るわなかったことは、言うまでもないだろう。エド・ウッドワードCEOの肝煎りで招聘し、大きな期待を懸けられていたポルトガル人指揮官も昨年12月にオレ・グンナー・スールシャールとの交代を余儀なくされた。
 
 一貫性のない戦略で低迷するユナイテッドに対して、ファン・ハールは、「フットボールを理解している人間が上層部にいない」と皮肉交じりに持論を展開した。

「バイエルンで現場や交渉役を務めているのは、元々フットボールをやっていたか、もしくはそういう畑で生きてきた人間だった。だからこそ、感謝されているんだ。一方でユナイテッドはどうだろうか? ウッドワードCEOはもともと銀行の投資家で、フットボールを全く理解していない人間だ。だからクラブを商業的な観点からでしか見ていない。無論、それはクラブ運営にとって良いことではない」

 さらにファン・ハールは、「ユナイテッドをクビにされたのは間違いだったのか?」と聞かれると、「スポーツ的な発展という面ではね」とコメント。自身の後任となったモウリーニョを引き合いに次のように言い放った。

「モウリーニョの就任というのは、商業的な観点から興味深いものだったよ。彼は勝っていた。ヨーロッパリーグを始めとするいくつかのタイトルも手にした。ユナイテッドはそれいいんだ。勝つ方法なんかに興味はなく、最優先事項ではないからね。リバプールとクロップ、シティとペップ、アヤックスとテン・ハーグとは、考え方や哲学の在り方が違うんだ」

 そして、「選手が敗戦の全責任を負っているのも問題だ。それは間違っている」とも言い残したファン・ハールの言葉は、ウッドワードCEOをはじめとするユナイテッドの首脳陣に響くのだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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