「あれは痛手だった」現役引退を表明した元オランダ代表ファン・ペルシ、プレミア“禁断の移籍”を振り返る

2019年05月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

「絶対に悪くなんて言えない」

悲願のプレミア優勝を叶えるために禁断の移籍を決断した名手、ファン・ペルシ。(C) Getty Images

 エールディビジのフェイエノールトに所属する元オランダ代表のロビン・ファン・ペルシは、今シーズンで長いキャリアに終止符を打った。

 その記録はすさまじい。プレミアリーグで2年連続で得点王に輝き、アーセナル所属時代にはFAカップ、マンチェスター・U時代にはリーグを制覇。2001年のプロデビューから17年、通算593試合に出場、274ゴールという記録を残している。

 アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドで活躍したファン・ペルシは、英公共放送『BBC』のインタビューで、かつての移籍を振り返り、両クラブへの感謝を口にしている。

 2004年から8年在籍したアーセナルで、278試合に出場し、132得点をマークしたファン・ペルシは、2012年にライバルのユナイテッドに移籍。3年間で105試合に出場し、58得点を記録した。

 まず、「アーセナル時代を振り返ると本当に誇らしくなる」と回顧したファン・ペルシ。ロンドンで過ごした日々を大切に思いながらも、ユナイテッドへの移籍を決断した背景をこう語っている。

「誰もが、挑戦や新たな冒険を必要と感じる時がある。あのときの決断が、みんなを傷つけたのなら、申し訳なく思うよ。でも、それが僕なんだ。

 ただ、アーセナルをネガティブに見ているわけじゃない。アーセナルを悪く言うことなど決してできないよ。素晴らしいクラブでファンタスティックな時間を過ごさせてもらった。若造の時に加入し、去る時には大人に、成熟した選手になっていた。人間として成長させてもらった」
 また、アーセナルから移籍する際、「アーセン・ヴェンゲルと僕が口論したり、大きく揉めたことは一度もなかった」とも明かしている。

「重要な時期には厳しい決断を下さなければいけないものだ。(アーセナルからの移籍は)非常にタフな決断だった。そういう時は、全員を喜ばせることができないと分かっている。僕はずっと前に、ただ自分らしくあり、自分の人生の決断を下して、あとは受け入れるということを学んだ」

 そしてファン・ペルシはユナイテッドに加入して1年目にプレミアリーグ優勝を果たした。しかし、当時の指揮官であるサー・アレックス・ファーガソンの引退で、歯車が狂っていく。ファン・ペルシは「あれは痛手だった」と振り返った。

「最低でも3年は彼が指揮するものと思っていた。でも、サッカーでは毎日変わっていくもので、それに対応しなければいけない」

 しかし、ルイス・ファン・ハールが就任した2014-15シーズンに苦しんだ。そして、シーズン後にトルコのフェネルバフチェへ移籍する。

「契約は残っていたから、残留すべきだったかもしれない。でも、ファン・ハールは考えを非常に明確にしてきたんだ。だから決断しなければいけなかった。ポジションを争うのか、それは正当な競争なのか、そういうことを考えて、移籍を決断したんだ」

 確かなのは、それでユナイテッドで過ごした3年間を悪くは思わないということだという。アーセナル時代を含めたイングランドでの11年について、ファン・ペルシは「子どものころに夢にも思わなかったこと」だと振り返っている。

「僕はチャンスをくれたアーセナルとユナイテッドに、感謝している」

 イングランドで輝かしいキャリアを築いたファン・ペルシ。今後については、「これまでなかった自由を少し楽しみたい」と打ち明けている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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