リバプールの「移籍委員会」が機能! サラーなどクロップが望む補強を実現!

2019年05月20日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

合議制で強化の意思決定を行なう。

クロップ監督(中央)が望んだサラー(左)やファン・ダイク(右)など、近年のリバプールは狙ったターゲットを獲得できている。(C)Getty Images

 リバプールは、経営トップのマイケル・ゴードン、ユルゲン・クロップ監督、そして3人のエキスパートからなる「移籍委員会」が合議制で強化に関する意思決定を行なっている。
 
 3人のエキスパートは、分析部門トップからSDに昇格したマイケル・エドワーズ、チーフスカウトのバリー・ハンター、スカウティングディレクターのデイブ・ファローズという顔触れ。いずれも『フェンウェイ・スポーツ・グループ』が経営権を買収して間もない2011~12年にかけて、当時SDだったダミアン・コモリによってエドワーズはトッテナム、残る2人はマンチェスター・Cから引き抜かれてリバプール入りしている。
 
 エキスパート3人はブレンダン・ロジャーズ前監督とは意見が割れて強化戦略が混乱したが、15年10月に招聘されたクロップとの関係は極めて良好。ここ数年はクラブのポリシーと指揮官の戦術的要請に沿った質の高い補強を実現している。
 
 スカウティングに関しては、すでに評価を確立したプレーヤーを獲得するケースが多くなっているため、それほど高い点は付けにくい。とはいえ、チームに必要なターゲットを的確に絞り込み、それをモノにする交渉力は、モハメド・サラー、フィルジル・ファン・ダイク、そしてアリソンなど最近の補強実績が示す通り、世界トップレベルと評価できる。
 
 チームマネジメントに関しては、この点について世界でもトップレベルの手腕を持つ監督であるクロップの存在が大きい。強度の高いハードワークを要求しながら、選手が不満を表に出すことなく結束してそれを遂行しているという事実が、すべてを物語る。もちろんクラブもそれを的確にサポートしており、近年はトラブルらしいトラブルがまったく起こっていない。
 
[リバプールの強化部門&フロント採点]
●スカウティング:7点
●交渉力:9点
●チームマネジメント:8点
(すべて10点満点)
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※ワールドサッカーダイジェスト2019年5月16日号より転載。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
 
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