右、頭、左、FK、そして……今度は2ゴール!! 試合ごとに進化を見せる本田

2014年10月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

得意の左足で決めた2点目に、現在の充実と余裕がうかがえる。

ゴールもさることながら、これまでで最もミス(プレーも判断も)が少なかったのも印象的。さらに安定感と信頼感を高めていくことが期待される。写真は2点目。 (C) Getty Images

 敵地で3-1と勝利を収めた7節のヴェローナ戦でも、本田圭佑の好調さは変わらなかった。それどころか、これで勢いは増したとも言えるだろう。
 
 今シーズン初の1試合2得点。通算得点はこれまで6となり、暫定ではあるが再びカルロス・テベス(ユベントス)とともに得点ランキングの首位に並んだ。
 
 1点目はステファン・エル・シャーラウィ、2点目はアディル・ラミのラストパスを受け、いずれもフリーの状態から冷静に相手GKを破った。
 
 この試合では、ジェレミー・メネーズがスタメンを外れたことで、ミランがどのような攻撃を見せるか注目されたが、前線はフェルナンド・トーレスやエル・シャーラウィの運動量も多く、中盤ではアンドレア・ポーリのプレーが効果的、そして右SBのイグナツィオ・アバーテの上がりは多くのチャンスに結びついた。
 
 ずっと適正ポジションはトップ下といわれてきた本田だが、3トップの右サイド、あるいは2トップの一角としての、セカンドストライカー(得点数はチームトップだが)の地位を確立したようだ。常にゲームに絡むわけではないが、ボールのないところでの動きが良いため、ここ一番で最高のシュートチャンスを得られている。
 
 それでいて、ポジションを下げると、本来の判断力、パスセンス、そしてフィジカルの強さを披露。しかもヴェローナ戦では止まった状態の1対1から相手DFをフェイントと瞬間的なスピードで振り切り、決定的なチャンスを生み出しており、これまで弱点とされてきたスピードのなさを、別の形でカバーできることを証明した。
 
 試合ごとに異なる良さを見せている本田。ゴールも、これまで右足、頭、左足、FKと来て、今回は左足で2ゴール。いずれもフリーではあったが、特に2点目については右に流れながら最後は得意の左足でコースを突くシュートを放つなど、とにかく精神的な余裕が感じられた。
 
 ただ、まだ向上すべき点、改善すべき点は、本田にもミランにもいくつかある。チームとしては、攻守ともにライン間の連係がまだ完全ではない。
 
 とりわけ守備では今回も危ない場面が多々あり、GKクリスティアン・アッビアーティの好守で何とか凌いでいたものの、最後に1点を奪われてしまっている。失点の時間帯が早ければ、試合展開すらどうなっていたか分からない。本田も後半には、守備面で対応が遅れることが何度かあった。
 
 前半終了後、そして83分に交代でピッチを後にした時、首をかしげる本田の姿が見られたが、まだ自分の理想と現実が完全には合致していないのか。だとすれば、それは現在の好調ぶり・充実ぶりの表われでもある。
 
 チームに必要な存在であるとの証明から始まった本田の今シーズンだが、試合ごとに進化(真価でもある)を見せ、今ではミランの勝利の鍵を握るまでになった。次節のフィオレンティーナでは、いかなる進化を見せてくれるのか、早くも期待は高まる。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事