「ありがとう、フットボール」――R・マドリーからのオファーも断っていたトッテナム指揮官が男泣きをした理由

2019年05月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

選手たちを「スーパーヒーロー」と称して涙を

劇的な決勝進出に感情を爆発させたポチェティーノ。この指揮官なくしてトッテナムの躍進はなかった。 (C) Getty Images

 後半アディショナルタイムに決した劇的な勝利にトッテナム・ホットスパーの指揮官が、熱き涙を流した。

 現地時間5月8日、チャンピオンズ・リーグ(CL)準決勝・第2レグが開催され、アウェーのトッテナムがアヤックスと壮絶な撃ち合いの末に3-2で勝利。アグリゲートスコア3-3、アウェーゴールの差で、クラブ史上初のファイナリストとなった。

 トッテナムの立ち上がりは最悪だった。5分にCKからアヤックスの主将マタイス・デリフトにドンピシャのヘディングシュートを決められると、29分にはハキム・ジイェフに追加点をもぎとられた。

 第1レグを0-1で落としていたため、勝ち抜けには3点が必要となったトッテナムは、後半開始と同時にスペイン人の長身FWフェルナンド・ジョレンテを投入。これによって前線でタメが作れるようになると一気に反攻に出る。そして55分と59分にルーカスがゴールネットを揺らした。

 勢いに乗ってその後も押し込んだものの、アヤックスの粘り守備の前に3点目が奪えない。万事休すかと思われた後半アディショナルタイム5分に、ドラマが待っていた。デル・アリのパスをエリア内で受けたルーカスが左足でシュート。これがゴール右下隅へ決まったのだ。
 
 劇的な形で決勝進出を決め、ピッチで選手やスタッフたちとハグをかわしながら大粒の涙を流したトッテナムの指揮官マウリシオ・ポチェティーノは、試合後の英メディア『BT Sports』のフラッシュインタビューで喜びを爆発させた。

「この感情を説明するのは難しいね。でも、エモーショナルで本当に素晴らしい気分だ。ありがとうフットボール、ありがとう選手たちって感じだ。私にとって選手たちは単なるヒーローではなくて、スーパーヒーローだよ。決して諦めない信念は本当に素晴らしいし、彼らを率いることができて私は幸せだ」

 ポチェティーノがサウサンプトンからトッテナムに就任したのは2014年5月のこと。それから5シーズンに渡って指揮してきたアルゼンチン人監督は、その間にレアル・マドリーやマンチェスター・ユナイテッドといったビッグクラブへの就任が噂された。

 実際、第2レグの前にスペイン紙『El Pais』が行なったインタビューで、ポチェティーノは、昨夏にジネディーヌ・ジダンの後任としてマドリーから就任を打診されたことを明かしている。

「どんな夢もリスクはあるし、相手が世界で最も大きなクラブということで、オファーをもらった時は、正直言って迷ったよ。でも、私はノーと言わざるを得なかった。それは途方もない決断だった。レビー(トッテナム会長)は私を手放すことはしないだろうし、私も契約を破棄するように振る舞うことはできない。そもそも、そういった行為は私の価値観に反するんだ。約束を守らない監督とクラブは契約するかい?」

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