【甲府】ボール保持に“免疫”がなかったチームの改革は着実に進行中! 問題は「勝てなくなった時にどうできるか」だ

2019年05月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

ここ5戦は1勝2分け2敗…。直近の千葉戦はシュート2本で2点を奪われ敗戦

12節を終えて4位につける甲府だが、ここ5試合は勝ち星にあまり恵まれていない。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 ヴァンフォーレ甲府はここ2試合、決定機を決め切れずに1分け1敗と勝点を取りこぼしている。直近5試合で見ても1勝2分け2敗と思うような結果を出せずに苦しんでいるが、内容は決して悲観するものではない。うまくいかない時は長いシーズンの中で必ずあるもので、チーム内には昇格という目標に向けた最初の関門を乗り越えようとする前向きな雰囲気がある。

 
 シュート2本で2点を奪われて敗れた12節の千葉戦。曽根田穣が「ゲーム運びは一番うまくいったかもしれない」と語ったように内容では相手を上回る戦いをしながら、決定機でシュートをことごとく外した。15本のシュートを浴びせたにもかかわらず、ゴールは試合終了間際の佐藤洸一の1点。勝点3どころか1にも届かなかったのは大いに反省しなければならないが、ネガティブにならずにここから先の戦いにつなげていけるかが重要なポイントになる一戦とも言える。
 
 チームにはJ1時代から堅守速攻がカラーとして染み付いている。伊藤彰監督は「少しずつ」、自分たちがより主導権を握ったサッカーをチームに落とし込もうとしている。ボールを保持することに「免疫」がなかったチームに急激な変化を与えることは難しいことを理解した上で、メンタル面も含めてボールを保持できるチームへの改革は着実に進んでいる。10節を終えてからは攻撃にフォーカスしたトレーニングも増え、試合の中で表現できることは確実に増えている。それでも結果が伴わないと、チーム内外に「不安」はどうしても生まれやすくなる。内外の空気をいかにポジティブに保てるかが、チームとして成熟して次のステップに進めるかの鍵を握っているように見える。
 

「(決め切るなど)やることはやらないと勝点は積み上げられない」と現実を理解した上で、「(長いシーズンの中で)勝ち切れない試合は当然出てくる。シーズントータルで考えればベースでいい戦いをしないといけない」と佐藤洸。目の前の試合で勝点を積む重要性を理解しながら、過度に一喜一憂しない大切さ。選手からは総じて同じニュアンスの言葉が発せられ、指揮官が示すひとつの方向に一丸で向かおうというプラスのエネルギーを感じ取れる。
 
「いい時は問題ない。悪くなった時、勝てなくなった時にどうできるか」
 昨季はヘッドコーチを務めていた伊藤彰監督は、シーズン途中にこんな言葉を漏らしたことがあった。今は指揮官を含めてチームが試される最初のハードルを目の前にしている時期。反省はしても、萎縮はしない。結果が出ない苦しい今だからこそ、ポジティブな空気をサポーターも含めてクラブ全体で作れるかが問われている。そこで内容に見合った結果を手にした時こそが、チームが一段階成長した瞬間なのではないだろうか。

構成●サッカーダイジェスト編集部

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