選手権を沸かせた小屋松知哉も24歳。京都サンガを背負って立つ時が来た

2019年05月02日 雨堤俊祐

左サイドで発揮される存在感

写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 J2リーグは11節で全体の4分の1を消化し、京都は4勝4分3敗の勝点16で9位。新体制となった今季、新たなスタイルを構築しながら、まずまずの結果を残している。

 そんなチームにあって、日に日に存在感を高めているのが小屋松知哉だ。ここまで11試合すべてに先発出場し、主に左サイドの攻撃的なポジションを担当。左サイドバックの黒木恭平らとともにパスをつないで攻撃の構築にかかわりつつ、アタッキングエリアでは鋭いドリブルでサイドを打開してチャンスを生み出している。
 
 今季の好調について小屋松はまず「コンディションがいい」と話す。これまでもコンディション管理は意識していたが、昨年秋からトレーナーをつけて週1回、身体の強化や使い方を学んでおり、競り合いの強度など少しずつ効果が現れている。
 
 もうひとつは新戦術がもたらした役割変更だ。昨年はキック&ラッシュで頻繁な上下動を求められて、消耗度がかなり高かった。今季はポゼッションスタイルになり「ボールを持つことで時間ができるので、ゆっくり押し上げられて、いいポジションも取れる。変な取られ方をしなければ(自陣にスプリントで戻る回数も少なくて)そこまで消耗しない。攻撃に力をかけられる、仕掛ける局面で集中してプレーできています」と話している。
 

 次に戦術面で、もう少し彼の役割を掘り下げてみたい。試合中に小屋松の立ち位置を見ていると、ライン際にいることが多い。これには主にふたつの狙いがある。
 
 ひとつは自分が仕掛けやすい状況を作ることだ。中央はゴールに近い最警戒エリアで当然ながら人が多いが、ライン際は比較的人数が少なくスペースがある。京都が中央や逆サイドでパスをつないで相手を引き付けた上で小屋松のいるサイドへ展開できれば、なおさらだ。スピードや技術を発揮して局面を打開し、サイドをえぐってゴール前の味方へボールを供給する形は、今年の京都のストロングポイントのひとつとなっている。
 
 もうひとつは、相手の守備を広げさせることだ。敵陣へ攻め込んだ場合、多くの相手はコンパクトな守備陣形を敷いてくる。だが、タッチライン際に突破力のある相手がいれば、守備側としてはそこへ人を当てざるを得ない。そうするとDFラインは横に広がり、サイドと中央の間(ハーフレーンなどと呼ばれるスペース)など、他のエリアが空きやすくなる。そこをチームメイトが使うことで、有効な攻撃を仕掛けることが可能となるのだ。
 
 こうした攻撃の仕組みは試合を重ねる中で確立されていったが、同時に相手も対策を講じてくる。4月28日の徳島戦でも、それは見られた。

次ページ相手からの警戒を超えて、さらなる高みへ

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