【ナビスコカップ】広島・石原直樹|形勢不利のチームを救う一発で自身初の大舞台へ

2014年10月13日 小田智史(サッカーダイジェスト)

2点リードを追いつかれても慌てなかった。

決勝進出を決める値千金のゴールを奪った石原。自身初のファイナルの舞台だ。(C) SOCCER DIGEST

 アウェーでの第2戦、広島は自分たちのミスから柏のレアンドロに2ゴールを許し、2戦合計スコアでイーブンに持ち込まれた。柏は今季、ホーム日立台で公式戦13勝5分2敗。広島にとっては、完全に形勢を逆転された状況のなか、チームを蘇らせる値千金の一撃を決めたのが石原だった。
 
「ホームの第1戦(2-0)で、ゼロで抑えたことがすごい有利だなと感じていた。2点取られたことを悔やむよりも、1点取りに行く気持ちでやっていたし、慌てることなく同じ方向を向いてみんなでプレーできたと思う」
 
 その言葉通り、61分に皆川、69分にミキッチを投入した広島は、攻撃のギアを上げた。70分、左サイドを駆け上がったMF柏が髙萩とのワンツーから折り返したボールを皆川が潰れ役となり、こぼれたボールに反応した石原がノーマークでシュート。わずかにバーを越えたが、このミスショットで石原は「よりシュートを意識した」という。
 
 その4分後、MF柏が左サイドからDFとGKの間にクロスを上げると、再び中央で皆川が潰れ役となり、相手GKの桐畑が弾いたボールを石原はしたたかに押し込んだ。
 
 皆川が潰れ役となり、シャドーの選手(石原、髙萩ら)が飛び込む形は「常日頃、練習からやっている形」と皆川。「GKがこぼすイメージはできていたので、しっかり詰められた」(石原)のは必然だった。また、「その前のビッグチャンスを外してしまったので、どんな形でもいいから1点取ると狙っていた」という気持ちも貴重なアウェーゴールを生む呼び水となった。
 
 塩谷と水本をA代表で、宮原と川辺をU-19代表で欠き、森﨑和は足の故障で欠場。さらにエースの佐藤(もも裏)、柏(左足)、ミキッチ(足)が試合中に負傷するなど、 苦しみ抜いた末に辿り着いたファイナルは、広島にとって4年ぶり。12年に大宮から移籍してきた石原にとっては初の大舞台となる。
 
「(対戦相手の)ガンバには最近のリーグ戦(0-1)、天皇杯(1-3)でやられている。向こうのイメージはすごくいいと思うけど、決勝に向けて100パーセントでプレーできるように準備したい」
 
「我々は過去2年間、Jリーグのタイトルを獲っているし、選手にもタイトルを獲るだけの力はあると常に言っている」という森保監督の言葉に応えるかのように、石原はファイナルの戦いに心を躍らせている。
 
「(ファイナルは)初めてなのでワクワクしている。今年はリーグ戦、天皇杯といい結果を残せていない。埼玉スタジアムでたくさんの人の前でいいプレーをして、何とかナビスコで優勝したい」
 
 石原はそう意気込みを語ると、不敵な笑みを浮かべながら、ミックスゾーンを後にした。
 
取材・文:小田智史(週刊サッカーダイジェスト)
 
ナビスコカップ準決勝 第2戦
柏 2-1 広島
※2戦合計3-2で広島が決勝進出
得点者
柏/レアンドロ(38・51分)
広島/石原直樹(74分)
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