浦和の4バック採用は是か非か?横浜戦の大敗を受けてオリヴェイラ監督の決断は

2019年04月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

森脇が懸念していた「横への間延び」を露呈

攻守ともにちぐはぐだった横浜戦は0-3で大敗。試合後、選手たちはがっくりと肩を落とした。(C)SOCCER DIGEST

 浦和レッズは5日に行なわれたJ1リーグ6節の横浜F・マリノス戦で0-3と完敗を喫した。GK西川周作がファインセーブを連発しなければ、傷口がもっと広がっていてもおかしくないほどの試合展開で、横浜の決定機は10回を数えようかというほどに切り崩された。
 
 浦和は昨年の4月下旬にオズワルド・オリヴェイラ監督が就任し、最終的に天皇杯でタイトルも獲得した。昨年の約1年を振り返ると、得点力にこそ問題は抱えているものの、失点がそれほど多いチームではなかった。それがこのような試合をしてしまったことには、前節のFC東京戦から4バックにチェンジしたことの影響を考えざるを得ないだろう。
 
「最後の最後まで混乱しながら90分が過ぎてしまいました」とは、槙野智章の弁だ。4バックの中でも、特に左サイドバックの山中亮輔は古巣相手に狙われた感もあり、仲川輝人に幾度となく自身の背後を突かれている。その要因には、4バックでありながらも個々の選手がスペース管理よりも人に食いつく意識が強くなりすぎ、横への間延び感が出たことが指摘できるだろう。そして、選手間にできたスペースに人とボールが入り込んできて突破されていった。奇しくも、前節に4バックを導入する前に森脇良太が「5枚で守る時と違うので、横の距離感に気をつけなくてはいけない」と話していたことが、2試合目のピッチで現実のものとして表れてしまった。
 
 オリヴェイラ監督は試合後の記者会見で「FC東京戦では失点はあったものの、4バックで試合を支配することができましたので、もうすでに一度できたことが、本日はできなかったということ」と4バックについて表現している。しかし、日頃から「サッカーには相手があるので、その影響を受ける」と話す指揮官だけに、その言葉をどう受け取って良いのか。
 

 FC東京は浦和に対して厳しいプレッシャーを掛けるというよりも、ブロックを形成する守備を選択したことでボールを支配できた側面がある。攻撃面でも、2トップの高さとスピードを生かすシンプルな攻撃が目立ち、浦和の選手たちの個の強さが生きた。どちらかと言えば、積極的にゲームを支配しにくる相手を上回る支配力は備わっておらず、ポゼッションを大事にしつつ目まぐるしく人とボールが動く相手に対して、落ち着いて守れるほどに4バックの機能性が高まっていないというのが現実だろう。
 
 オリヴェイラ監督はFC東京戦後、4バックへの準備期間を「投資」と表現し、「うまくいかなければ3バックに戻せば良いだけだった」と話している。これでもかと言わんばかりに切り崩された試合を経て、躍動感が見られないチームには何か刺激が必要だろう。それがアジア・チャンピオンズリーグという国際大会なのか、出場機会に飢える選手たちにチャンスを与えることなのか、あるいは見切りをつけて3バックに戻すのか。少なくとも横浜戦を見る限り「このまま様子を見れば良い」とは、言いづらい状況に陥っていることは事実ではないだろうか。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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