【セルジオ越後の天国と地獄】予算が気になって重い腰を上げられないJクラブ

2014年10月02日 週刊サッカーダイジェスト編集部

恒例行事の監督交代。出向社長が仕切る限りこの状態は変わらない。

シャムスカ監督を解任するタイミングは、いくらでもあったはず。磐田の対応は遅かったと言わざるを得ないだろう。(C)SOCCER DIGEST

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※週刊サッカーダイジェスト10.14号(9月30日発売号)より
 
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 9月23日に行なわれた33節のサンガ戦で、ベルマーレがJ1昇格を決めた。9試合を残しての昇格決定はJ2史上最速だそうだ。ベルマーレは、33試合で1敗しかしていないし、失点もわずかに18。圧倒的な強さを見せつけたと言えるね。
 
 昨季にJ1から降格したベルマーレは、それでも主力の流出を最小限に止め、曺監督も留任して体制を維持したまま今季のJ2に挑んだ。これが奏功したのだろう。開幕からJ2記録の14連勝を達成し、勢いに乗って一気に昇格まで駆け抜けた。33節終了時点で2位・松本との勝点差は20もあるし、優勝もほぼ決まりだ。心からおめでとうと言いたい。
 
 ただ、大事なのはこれから。来季のJ1で、いかに結果を残すかが重要なんだ。昨季のJ1での戦いを振り返ると、ベルマーレの戦力不足は明らかだった。戦術的な完成度が高くても、局面で個の力の差が表われてJ1勢に対抗できなかったんだ。
 
 今回は同じ過ちを犯してはいけないよ。ベルマーレは豊富な資金を持つクラブではないけど、補強は確実に必要だ。ここからはフロントの力の見せどころ。史上最速で昇格を決めたのだから、これをアピールポイントにして来季のスポンサー集めに動き出せばいい。ガイナーレのように魚を売って資金を集めるのもありだし、とにかくアイデアを絞って資金繰りし、来季のキャスティングを豊かにしなければならないよ。
 
 ベルマーレが昇格を決めた一方で、3位のジュビロが監督を代えたね。成績不振を理由にシャムスカ監督を解任し、新たにクラブOBの名波を新監督に迎えた。2位の松本に勝点8差を付けられて自動昇格の2位以内が危うくなってきたことが理由らしい。でも、それなら遅すぎるよ。
 
 自動昇格を狙っているのなら、もっと早い段階で決断すべきだ。ジュビロが3位に落ちたのは22節からだし、それまでだって特に内容が良かったわけではない。実際、シーズン序盤からベルマーレに大きく水を開けられていたわけでしょ。彼らに食い下がるために手を打つタイミングはいくらでもあったし、残り9試合まで待つ必要なんてなかったんだ。
 
 ジュビロはJ1で残留争いをしていた昨季も、シーズン終盤に監督の首をすげ替えて関塚監督を迎えた。それで残留できなかったから今季はシャムスカ監督に任せたのに、また失敗したんだ。フロントの見極めが甘い証拠だよ。今季、昇格できなかったら誰が責任を取るのだろうね。
 
 今回のジュビロのように、シーズン終盤に監督を代えるのはJリーグの恒例行事だ。現場の状況を見極めるフロントの手腕が欠けているから、こういう事態が起こるのだろう。早い段階で問題が明らかになっているのに、予算を気にして行動に出られず、土壇場で重い腰を上げる。毎回、この繰り返し。親会社から出向した社長が仕切っている限り、この状態は変わらないのかもしれないね。

次ページ年代別代表の結果次第で、育成の抜本的な見直しが必要になるかもしれない。

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