一時はまさかの最下位転落… 今季ホーム初白星の福岡は、いかにして本来の姿を取り戻したのか?

2019年04月05日 中倉一志

開幕からまったく調子の出ないチームに、メンタルの弱さを指摘する声も

石津が今季初ゴールとなる先制点をゲット。チームを勝利に導く活躍を見せた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

「わずか3日間でチーム状況が変わり、選手はアグレッシブさを見せてくれた。これが我々のサッカー」
 
 7節・栃木戦。試合後の記者会見でファビオ監督は胸を張った。この日、アビスパは産みの苦しみを乗り越えて、自分たちのサッカーで今季ホーム初勝利を手に入れた。
 
 アビスパのサッカーは前線からのプレッシングで始まる。3トップと、その内側に構える2人が敵陣でボールを追い込み、それを高い位置取りをする両サイドバックがサポート。そしてアンカーに構える鈴木惇がボールを配ってゴールを目指す。ボールを失っても下がることなく、その場でプレスをかけ直して奪い返す。攻撃の起点は両サイド。選手の距離感を短くして少ないタッチでボールを回し、スペースへ飛び出していくのがスタイルだ。
 
 だが、プレシーズンで手応えを掴んでいたはずの戦い方も、リーグ戦での勝利につながらなかった。そして、ファビオ監督が最も大事にする「アグレッシブにプレーすること。常に前を向いてプレーすること」という姿勢が消え、順位は最下位に落ちた。
 
「勝てなかったことで、自信をなくしかけたり、迷いだったりというところが、チームとしても、個人としてもあった」と話すのは石津大介。充実した練習を重ね、手応えを掴みながらも、試合では自分たちのサッカーをまったく表現できない選手たちのメンタルの弱さを指摘する声も聞かれるようになった。
 
 しかし、苦しい状況にも選手たちは下を向くことはなかった。ファビオ監督から檄を飛ばされ、その言葉を正面から受け止め、選手たちで話し合い、自分たちが何をするべきか意見をぶつけ合った。そして迎えた7節の栃木戦で、福岡は本来の姿を取り戻す。
 
「技術とか戦術の問題以前に、まずは気持ちを前面に出そうとファビオ監督に言われた。それを今日、ピッチで選手が表現できた」(石津)。
 
 立ち上がりからアグレッシブに前へ向かってプレーする福岡は試合を掌握。後半開始早々に2点のリードを奪い、その後1点を返されても前へ出る姿勢を最後まで貫いた。その姿はキャンプ以来、トレーニングで取り組んできた姿だった。
 

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