乾貴士とのポジション争いを制し…元R・マドリーの“ガラスの天才”が28歳でスペイン代表デビュー !

2019年03月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

マドリーを実質1シーズンで退団

クラブでの好調を買われ、スペイン代表に初選出されたカナレス。ノルウェー戦で念願の初キャップを刻む。(C)Getty Images

 それは、いささか遅すぎるデビューだったかもしれない。

 現地時間3月23日に行なわれたEURO予選の第1節、スペインがノルウェーを2-1で下した試合で初キャップを刻んだのが、セルヒオ・カナレスだ。

 スペインが71分にセルヒオ・ラモスのPKで勝ち越し点を奪った、その3分後だった。ルイス・エンリケ監督が最初のカードを切る。中盤のダニ・セバジョスに代えて送り込んだのが、このベティスのMFだった。

 28歳――。代表デビューにしては遅い部類に入るだろう。しかも、かつて"天才レフティー"として一世を風靡した男なら、なおさらだ。

 ラシン・サンタンデールの出身で、スペインの各年代の代表に名を連ねる、いわゆるエリートだったカナレスが、大ブレイクを果たしたのが09-10シーズン。高度な左足のテクニックを駆使し、華麗なプレーで決定機を作り出す19歳の新鋭に目を付けたのが、レアル・マドリーだった。

 スペインきってのビッグクラブが、まだシーズン中の10年2月に契約に動いたという事実からも、どれだけ才能を高く評価されていたかがわかるだろう。

 その年の夏に晴れてマドリーに一員となったカナレスはしかし、巨大戦力に埋もれて出番に恵まれず、最初のシーズンは公式戦15試合でわずか518分間の出場に終わった。次のシーズンはバレンシアへレンタルに出され、結局そのまま完全移籍に。マドリーでは実質1年しかプレーできなかった。

 そのバレンシアでも、二度に渡り膝に大怪我を負って満足な結果を残せず。その後に移籍したレアル・ソシエダでは主力を務めたシーズンもあったとはいえ、再び膝の故障に苦しみ、なかなかトップフォームを取り戻せない日々が続いた。
 
 しかし、昨夏に移籍したベティスでようやく輝きを取り戻す。キケ・セティエン監督の攻撃サッカーにすぐさまフィットし、同じく新加入の乾貴士や重鎮ホアキン・サンチェスとのハイレベルな2列目のポジション争いを制すと、ここまで26試合に出場し、チームトップの6ゴール。豊富な運動量で泥臭いプレーも厭わず、攻守に奮闘を見せている。

 その活躍が評価されて、待ちに待った代表初選出、そしてデビューを飾ったかつての天才は、試合後にこうコメントしたと『Sport』紙が伝えている。

「ハッピーだよ。夢が叶った。代表に招集された経験がなかったこれまでは、メンバーに入るのが目標だった。でも、これからはここに残るのが目標になる。代表でもクラブでもすべてを出し切るつもりだ。そうすれば、監督は僕を呼び続けてくれると思う」

 大怪我を克服し、再び脚光を浴びるようになったカナレス。代表での戦いは、始まったばかりだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 
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