衝撃2ゴールの19歳! ユベントス超逸材FWは何者か?

2019年03月11日 片野道郎

16歳でセリエAとCLにデビュー。

ウディネーゼ戦で2ゴールの大活躍を演じたケーン。写真:Alberto LINGRIA

 コートジボワール人の両親の下、移民2世として2000年2月28日にピエモンテ州のヴェルチェッリで生まれたモイゼ・ケーンは、地元クラブを経て7歳でトリノの育成部門に入ったが、10歳の時にユベントスに引き抜かれた早熟のエリートだ。

 育成年代の各カテゴリーを〝飛び級〞で通過し、14歳の時(14-15シーズン)にはすでにアッリエービ(U-17チーム)でプレー。しかも11試合で5得点を挙げて注目される。15歳になった翌15-16シーズンはアッリエービとプリマベーラ(U-19チーム)を掛け持ちして、アッリエービで21試合・19得点を記録するなど、桁外れのタレントを見せつけた。

 代表でもまず14歳でU―15に招集されて以降、15歳でU―17、17歳でU―19、18歳でU―21と常に飛び級で上のカテゴリーを経験してきた。

 そのタレントはユベントスのマッシミリアーノ・アッレーグリ監督にも注目され、16-17シーズンには16歳ながらトップチームに帯同するようになり、2016年11月19日のペスカーラ戦でセリエA、その3日後のセビージャ戦でCLにデビュー。両コンペティションに2000年以降生まれで初めて出場した選手となった。さらに17年5月のボローニャ戦では、欧州5大リーグでゴールを決めた初の「2000年生まれプレーヤー」となっている。

 同シーズンはセリエA3試合・1得点、CL1試合の出場に留まったが、そのタレントは国内外に広く知られるところとなり、続く17年夏はレンタル移籍のオファーが複数舞い込んだ。その中からユベントスが選んだのは、同じセリエAのヴェローナ。降格争いに巻き込まれるという苦しいチーム状況の中、シーズン半ば過ぎまで19試合に出場して4得点を挙げた。ただ、2月に内転筋を負傷し、残る3か月は戦線離脱を強いられた。
 
 今シーズンは下位クラブへのレンタルがあまり成長に結びつかなかったという反省もあってか、ユベントスはケーンをトップチームに残す。そして、前半戦はクリスチアーノ・ロナウド、パウロ・ディバラ、マリオ・マンジュキッチというワールドクラスに阻まれて出番がほとんどないにもかかわらず、A代表監督のロベルト・マンチーニと育成年代代表統括コーディネーターのマウリツィオ・ヴィシディを筆頭とする代表スタッフからはその成長ぶりが高く評価され、昨年11月にはアッズーリ入り。11月20日のアメリカ戦では、2000年生まれで最速のアッズーリ・デビューを果たした。

 ユベントスでも後半戦になって存在感を高めている。今シーズン初先発となった1月12日のボローニャ戦(コッパ・イタリア)で1ゴールを挙げると、3月8日のウディネーゼ戦(セリエA27節)では2ゴールの大活躍。クロスに飛び込んで右足で合わせた1点目も、単独突破から右足アウトサイドで蹴り込んだ2点目も、テクニックとフィジカルが融合した迫力満点のゴールだった。

 まだ19歳になったばかりだが、今後はイタリアの絶対王者でも出番が増えそうだ。

文:片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト』2019年3月7日号から加筆・転載。

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