【J1・24節】絶妙アシストだけじゃない! 守備もポストも頑張る宇佐美貴史がアギーレ監督の前で猛アピール|G大阪 2-0 C大阪

2014年09月21日 週刊サッカーダイジェスト編集部

「今後何年も日本代表の中心になれる選手」と今野。

ゴールこそなかったものの、宇佐美は先制アシストと2点目の起点となるスルーパスで勝利に貢献。(C) SOCCER DIGEST

 自身3年4か月ぶりの大阪ダービー。燃えたぎる気持ちとは裏腹に、宇佐美貴史は憎らしいほど冷静だった。37分、左サイドをワンツーで突破し、バイタルエリアへ進入。すると猛然と寄せてきたC大阪守備陣の穴を、見逃さなかった。
 
「シュートブロックに来た足の下が空いているのが見えた。相手は(シュートを)打つと思って守備をしてきていた」
 DFの足の下を抜き、右サイドでDFの裏を取った阿部浩之に目の覚めるようなスルーパスを通す。絶妙なアシストで、先制点をお膳立てした。
 
 ワールドカップ後の公式戦は14試合で10得点。そのうちミドルシュートが6本と、抜群のパンチ力を誇る中距離砲が火を噴いた。この日は無得点に終わったが、アシストの場面では得意のミドルをフェイクに使うプレーの幅も見せ、視察した日本代表のハビエル・アギーレ監督の前で1アシストとアピール。しかし本人は「(視察を)意識はしていなかった。チームを勝たせることだけを考えていた(自己採点は)50点。もっと良さを出せたと思う」と冷静に振り返った。
 
 今シーズンは開幕前に負った左足の負傷から5月に復帰後、エースとしての役割を果たしている。とりわけシュート精度に関しては、本人も「打てば入るという感覚がある」と言うほど、研ぎ澄まされている。チームメートで二度のワールドカップ出場経験がある今野泰幸が「敵にしたら止めようがない。今後、何年も日本代表の中心になれる選手だと思う」と絶賛するほど、ストライカーとして圧倒的な存在感を放っている。
 
 しかし、9月の国際Aマッチでは、アギーレ監督の新生日本代表には招集されなかった。運動量の少なさ、守備での貢献度の低さなどが、攻守に渡る献身性「コンプロミソ(スペイン語)」を求めるアギーレ監督の好みには合わない可能性はある。
 
 それでもG大阪の長谷川健太監督は「(攻守の)切り替えもよくなってきた。ポストプレーなど、苦手分野も改善傾向にある」と評するように、宇佐美自身も自らの課題と向き合っている。この日も自らのミスで招いたピンチに、自陣ゴール前まで戻って守備に回る場面もあった。
 
 後半になると運動量が落ち、試合から消える時間もあるなど、まだまだ課題はある。しかし、そのアタッキング性能はJリーグでもトップクラスの実力にあるのは疑いようがない。アギーレ監督は試合後、コメントを残さずスタジアムを後にした。メキシコ人指揮官の目に、初めて生で見た宇佐美のパフォーマンスはどう映ったのだろうか。
 
J1リーグ/24節の結果
G大阪 2-0 C大阪
名古屋 2-0 甲府
鹿島 1-0 横浜
浦和 3-1 柏
川崎 0-0 FC東京
神戸 3-1 清水
広島 2-0 新潟
徳島 0-2 大宮
鳥栖 2-1 仙台
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事