「素晴らしいオファーがあれば…」 冨安健洋に惚れ込んだSTVV指揮官が“トミ”の魅力とその去就を語る

2019年03月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

「彼に備わっている最も崇高な“ギフト”は知性」

188cm、78kgの恵まれた体格を活かし、ベルギーで成長し続けている冨安。6月のコパ・アメリカで日本代表メンバーに招集されるかどうかも注目される。 (C)STVV

 ベルギー・ジュピラーリーグでは、レギュラーシーズン終了後に上位6チームの総当たりによるプレーオフ1(PO1)が開催される。そこで1位になったチームがリーグ覇者と認定され、上位チームにはチャンピオンズ・リーグなど欧州カップ戦への出場権が与えられる。

 今シーズンから日本企業「DMM.com」がオーナーとなり、今や日本人選手が6名も在籍するシント=トロイデン(STVV)は、現在5位をキープ。リーグ戦は残り3試合で、史上初となるPO1進出を確かなものにするためには、ひとつでも多く勝ち星を積み重ねたい状況だ。

 負けられない試合が続くSTVVについて地元紙『Het Nieuwsblad』は、チームの勝敗を左右するキーマンとして、20歳のDF冨安健洋の名前を挙げた。

「ウインターブレーク前までは、点取り屋として鎌田大地が注目された。しかし、STVVには欠くことのできない日本人が、もうひとりいたのだ。指揮官は彼に、深く感銘を受けている」

 冨安は今シーズン、アジアカップのために欠場した試合を除き、リーグ戦、カップ戦ともにフル出場。恵まれた体格と読みを活かした守備に加え、精度の高いフィードを武器に、好守にわたってチームに貢献している。

 同紙はさらに、若きDFについてSTVV指揮官マルク・ブライスが語ったコメントを紹介している。
「トミ(冨安の愛称)は、とても練習熱心だ。以前、私が一度ロングキックの精度について注意したら、夏場でも黙々と壁に向かって練習し続けた。皆が帰ろうとしても続けるものだから、スタッフ総出で止めたほど真面目な努力家だ。

 そして、彼に備わっている最も崇高な"ギフト"は、知性だと思う。些細なアドバイスでもすぐに拾い上げ、自分のものにできる賢さがある」

 ヨーロッパで活躍を続ける冨安には、昨夏、大迫勇也が所属するブンデスリーガのブレーメンが移籍金600万ユーロ(約7億8000万円)でオファーを出したものの、STVVが拒否したと報じられている。

 その後、冨安は1月に開催されたアジアカップに日本代表として参加し、準優勝に貢献。同紙によれば、現時点で冨安の移籍金は1000万ユーロ(約13億円)を超える金額が設定されているという。PO1進出に貢献すれば、その数字はさらに高まる可能性がある。

「今のトミを1000万ユーロ以下で放出するクラブは無いだろう。もちろん彼を放出することを望んでいるわけではないが、素晴らしいオファーがあれば、トミのキャリアを妨げることはクラブもしないはずだ」と指揮官が語るように、今夏に移籍する可能性は、ゼロではない。

 現地時間3月2日、STVVはクラブ・ブルージュとのアウェー戦に臨む。強豪との大一番で、冨安は勝利に貢献し、その価値の高さを示すことができるだろうか。
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