黒星スタートの東京V、司令塔が感じた町田との差は「歴然としていた」

2019年02月27日 海江田哲朗

狙いのはっきりしないアバウトな放り込みで、セカンドボールの回収もままならず

開幕戦黒星スタートとなった東京V。新体制となった今季は、いかなる戦いぶりを見せてくれるだろうか。写真:滝川敏之

 東京Vのホワイト新体制は黒星スタートとなった。2月24日、町田との東京クラシックは0-1の敗戦。激しいプレッシングからのショートカウンターを武器とする町田に対し、東京Vは敢えてロングボールで攻め込む戦術を用いたが、結果につなげられなかった。

 前半、梶川諒太の負傷により、24分から投入された井上潮音は言う。
「自分が入った時、ウチくん(内田達也)やカンヤ(藤本寛也)につなげるところはつないでいこうという話はしました。ただ、それをチーム全体には広げられなかった。途中、周りと話せるタイミングやハーフタイムもあったのに、変えられないままゲームを進めてしまった」

 狙いのはっきりしないアバウトな放り込みの連続により、セカンドボールの回収もままならなかった。不慣れな戦い方では、相手の長所を消すだけでは済まないのが道理だ。

「相手は何年も同じサッカーを続けてきたのに対し、自分たちは対策のための1週間のトレーニング。結果、内容ともに差は歴然としていたと感じます。チームの共通意識が足りなかった」

 劣勢に立たされ、どのように勝機を見出すのか。ビジョンの共有が困難だったのは、藤本も口にする。

「2、3人がボールをつなごうとしても、それ以外の選手が裏を意識していたら効果的な攻撃を仕掛けていくのは難しい。パスで崩していくには、選手同士の距離感が大事になってくるので」

 後半、藤本は裏に抜けてパスを引き出し、数少ない決定機を演出した。本来、左足の正確なキックで人を使うことを得意とするが、使われる側の仕事もこなせる。

「あの場面は相手のスピードを見て、背後を取れそうだと狙っていました。向こうが前がかりになっている時は特に裏抜けが有効。今日は走っている選手に合わせる長いボールが少なかった」
 
 若いふたりは、こうして刻々と戦況が変化するなかで問題に直面した時の対処を学んでいく。今後、中軸を担うためには、チームを動かすリーダーシップを身につけ、影響力を高めなければならない。

 ホワイト監督は「今日は結果だけを求め、いつもと違うサッカーをやらなければならなかった」と話し、町田戦を特殊な手法で戦ったことを認めている。では、次はいかなる戦い方を見せるのか。本領発揮となるだろう、2節の愛媛戦が注目される。

取材・文●海江田哲朗(フリーライター)
 
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