シュートは1本のみ…J王者・川崎に完敗の浦和。それでも指揮官が平然としていた理由は?【ゼロックス杯】

2019年02月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

王者との調整方法の違いが結果に

J王者に完敗を喫した自軍を冷静に眺めたのは浦和の指揮官オズワルドだ。 (C) SOCCER DIGEST

 最後の最後まで"赤い悪魔"にスイッチが入ることはなかった。

 2月16日、新シーズン開幕を告げる「FUJI XEROX SUPER CUP 2019」が、埼玉スタジアム2002で行なわれ、天皇杯王者として臨んだ浦和レッズはJリーグ王者の川崎フロンターレに0-1と敗れた。

 接戦のようにも思える点差だが、試合内容や公式記録を見れば、浦和は文字通りの完敗を喫した。失点こそ1点にとどめたものの、自分たちのシュート総数は試合を通じてわずかに1本で、ポゼッションでも川崎の完成度の高い中盤に劣った。

 理由はある。「『一発勝負に勝つ』というところを目的としてキャンプからやってきた」と鬼木達監督が語る通り、今シーズンのスタートからこの一戦に照準を合わせてきた川崎に対し、浦和は個々のコンディションや連携面のトレーニングに重点を置き、沖縄で行なったキャンプでの練習試合は8日の沖縄SV戦のみ。両軍の試合勘のギャップは致し方なかった。

 それゆえに浦和のオズワルド・オリヴェイラ監督にも焦りはない。試合後の会見で開口一番に「少し厳しい言葉になるが、良いゲームにすることができませんでした」と反省の言葉を口にしながらも、次のように率直な感想を続けた。

「今日がスタート地点。ただ、我々はこの日に向けて、すべてを整えてきたわけではありません。なので"心配しすぎる"ことはしません。とはいえ、ゲームプランを実行できず、心配していないわけではありません。より良くするために心配はしています」
 

 来るベガルタ仙台とのJリーグ開幕戦までは1週間と時間は限られている。68歳のブラジル人指揮官は、「必ず今日よりは良いプレーをお見せしますよ」と鋭い眼光を記者陣へと向けて言い放った。

「今日は武藤と青木がいない影響が響いてまとまりを欠いた。そうしたなかで今日は新たな選手たちを試した。車は備品を代えれば、すぐに動くが、選手たちにはそれぞれの特徴があって、時間がかかることもあれば、早々にフィットすることもある。なので、時間は必要だと思う。ただ、私は浦和の選手たちをよく知っている。必ず今日よりも良いゲームができると確信している」

 今シーズンはJリーグの覇権奪還とアジア制覇を掲げる浦和は、開幕戦から結果が求められる。それだけにこれまでもチームを見違えるように変化させてきた"オズ・マジック"の期待値は高まるばかりだ。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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