降り注いだ“ネズミ”の雨! 古巣ファンからの攻撃にクルトワの想いは? 「僕の3年間はこんなことで…」

2019年02月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

禁断の移籍後、初の帰還で…

アトレティコ・サポーターから痛烈な攻撃を受けたクルトワ(左)は、試合後にその心境を語った。 (C) Getty Images

 現地時間2月9日に行なわれたリーガ・エスパニョーラ第23節で、レアル・マドリーは3-1でアトレティコ・マドリーを破った。

 首位バルセロナと、2位のアトレティコが勝点6差、3位のマドリーが勝点8差という状況で行なわれた公式戦通算273回目のダービーマッチは、白熱の展開となった。

 優位に立ったのはマドリーだ。16分にカゼミーロのジャンピングボレーで先制すると、25分にアントワーヌ・グリエーズマンに同点弾を決められるも、42分にセルヒオ・ラモスのゴールで勝ち越しに成功。74分にはガレス・ベイルがカウンターからダメ押しゴールを奪い、アトレティコの息の根を止めた。

 優勝レースにも影響する一戦というだけあって注目度が高かった試合は、キックオフ前から異様な雰囲気に包まれていた。そんななか、とりわけホームサポーターから痛烈なブーイングを浴びていたのは、元アトレティコ所属であり、現在はマドリーの守護神であるベルギー代表GKのティボー・クルトワだ。

 2011年の7月から約3年間にわたってアトレティコに在籍をしたクルトワだが、昨夏にチェルシーからマドリーへ"禁断の移籍"を実現。さらに昨年12月には、「シメオネは自分のファンから人気を得ようと、マドリーを馬鹿にするんだ」と恩師を批判したことで、アトレティコのサポーターの心象をさらに悪くしていた。

 そうした背景もあって、マドリー移籍後初めて、かつての古巣の本拠地に戻ったクルトワへの"攻撃"は凄まじかった。

 スペイン紙『Marca』によれば、試合中は単なる罵声だけでなく、スペインで「卑しい人」や「裏切り者」などといった軽蔑語の意も含むネズミの人形が大量にピッチに投げ込まれたという。さらにSNSなどでは、「裏切り者に制裁を」といった過激なコメントも目立った。

 これだけの仕打ちを受ければ、さすがに嫌気が差すことだろう。しかし、試合後のクルトワは、「僕はまだ、アトレティコとサポーターへ敬意を抱いている」と冷静に語り、さらに次のように主張した。

「冷静さを保ち、集中することが重要だった。彼らが僕に投げたものについては、考えていないよ。それは、何も問題のないものだからね。僕がここにいた3年間は、こんなことで消されはしない。本当に美しい3年を過ごしたんだ」

 かつて自らを愛してくれた人々からのバッシングに動じることなく、堂々とプレーしたクルトワ。その図太いメンタリティーには、あっぱれと言うほかないだろう。

 彼の奮闘もあって、2位に浮上したマドリー。暫定ながら首位バルサとの勝点差も5として、逆転優勝へ望みも繋いだ。

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