史上初、早稲田大(ア式蹴球部)へロゴを掲出する株式会社SOUの元Jリーガー社長は何者か

2019年02月04日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

嵜本氏にとってG大阪で過ごした3年間は何事に代え難い時間だった

早稲田大の総会で嵜本氏(中央)は、早稲田大の石井部長(右)と副将の金田選手(左)ともに登壇。学生たちのサポートに意欲を示している。

 2月1日、株式会社SOUは早稲田大学競技スポーツセンター(ア式蹴球部)とオフィシャルパートナーシップ契約を締結した。来季からユニホームの胸部に企業ロゴが掲出される。この取り組みは同大の体育各部としても、また1924年創部のア式蹴球部としても史上初だ。世界で活躍する人材を継続的に輩出すべく、まずは学生の個性を磨く環境整備のサポートを行なっていく。
 
 日本サッカー界を創成期から牽引してきた早稲田大と今季から3年間タッグを組む株式会社SOU。今回の契約に至ったのは、社長を務める嵜本晋輔氏の存在が大きい。
 
 1982年生まれの嵜本氏はG大阪の選手として3年間プレーし、サッカー界に身を置いていた人物。引退後に父親の事業を引き継ぎ、ふたりの兄とともにビジネスマンとして様々な経験を積んできた。そして、2011年の11月に『株式会社SOU』を設立し、代表取締役に就任。飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を伸ばし、わずか7年後、2018年の3月に元Jリーガーの会社経営者としては史上初めて東証マザーズへ新規上場したのだ。
 
 Jの舞台からは22歳で引退、華々しいとは言い難いキャリアだったが、ビジネスの世界では最前線を走り続ける嵜本氏。「プロサッカー選手としての経験がなければ、今のわたしはないと言い切れるぐらいサッカー、スポーツから沢山のことを学ばせていただきました」と語るように、Jリーグでの苦い経験は、現在輝く糧となっている。その感謝の念から、長年いずれはスポーツ界やサッカー界に対し、恩返しをしたいと考えていた。その第一歩として、すでに古巣であるG大阪でもゴールドパートナーとしてクラブを支える立場になった。そんななか、飛び込んできたのが、今回の歴史的な早稲田大初のロゴ掲出のパートナーシップの話だった。
 
 ビジネスでの成功以来、「プロスポーツ選手のセカンドキャリアについて意見を求められることが増えてきた」と2月1日に上梓した著書の中で話す嵜本氏は、キャリア支援へも関心が高く、学生たちを支えられるのであればと、即決した。不思議な縁で、早稲田大のOBには嵜本氏のG大阪時代の恩師、元日本代表監督の西野朗氏もいた。その西野氏も出席した納会で、嵜本氏は支援への熱い想いを語った。

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