【松木安太郎】悔しいけれど力負け。劣勢を覆すベンチワークが必要だった

2019年02月02日 松木安太郎

日本の攻撃は、カタールが構えている網の中にボールを入れるだけだった

日本は立ち上がりからカタールに主導権を握られたが、森保監督はピッチ上の混乱を収められなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 2大会ぶり5回目の優勝を狙ったアジアカップ決勝で、日本はカタールに1-3で敗れた。悔しい結果に終わったけど、相手は強かったよ。日本は早い時間に1点を取られて、立て直せないまま2失点目を食らった。後半に1点を返したものの、前がかりになった裏のスペースをカウンターで突かれて度々ピンチを迎え、最後はPKで3失点目。完敗に近い内容だ。
 
 カタールはクラブチームでも一緒にプレーしている選手が多く、組織力が非常に高かった。連係や戦術の浸透度という面では、ヨーロッパで戦っている選手が集まった日本との差は、やっぱりあったね。
 
 それに、カタールは2022年にワールドカップを自国開催するということで、モチベーションも高い。ちょうど、2002年の前の日本と同じような雰囲気だ。ワールドカップで良い仕事をするためにみんなが集中しているんだ。
 
 試合を振り返ると、カタールは日本をよく研究していたと思う。日本が困るようなサッカーをしてきたからね。ベトナム戦もそうだったけど、日本は今大会で5バックのチームに苦しめられていた。カタールはそれを分析して、5バックで守備を固めたんだと思う。
 

 日本の攻撃はサイドからスペースに出ていく動きや、ドリブルで切り裂いて誰かが追い越していくようなシーンが少なく、カタールが構えている網の中にボールを入れるだけだった。そこからの連係でいくつかいい形を作れたのは評価できるけど、あの崩し方を生かすためには、違う形も交えていかければいけない。単調になると、相手も対応しやすいからね。実際に前半は、そんな展開だったから、カタールの狙いにまんまとハマったわけだ。
 
 武藤を投入した後半は、一度中盤に引いてから飛び出す選手が増えたので、少しリズムが変わった。でも、日本は時間の経過とともに攻撃が手詰まりになり、途中出場の選手もアクセントになれなかった。飛び出しを繰り返すことでスペースができていたんだから、もっと徹底してやるべきだったと思う。
 
 対してカタールは、中盤の選手がどんどん追い越して日本の守備を撹乱してきた。運動量が豊富だった前半は、特にこの動きが顕著で、脅威になっていたよね。
 

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