「彼に電話をもらったから来たんだ…」今冬にモナコへ移籍したセスク、アンリの電撃解任に複雑な心境を吐露

2019年01月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

アンリと一部選手の間には軋轢が…

アーセナルで共にプレーしていた時から親しい関係にあったアンリを頼ってモナコへとやってきたセスク。それだけに今回の騒動には複雑な想いを抱えているようだ。 (C) Getty Images

「僕がモナコにやってきた一番の要因はティエリが電話をくれたからからなんだ…。だからショックだよ」

 リーグ・アンのモナコに所属するスペイン代表MFのセスク・ファブレガスが、今月24日に事実上の解任となったティエリ・アンリへの思いを深刻な表情で語った。

 それはあまりに突然の出来事だった。

 昨年10月13日に成績不振に陥っていたレオナルド・ジャルディム前監督の後を継いでモナコに就任したアンリ。解説業に勤しんでいた時代に見せていた知見の深さから降格圏に沈んでいたチームを浮上させることが期待されたが、リーグ・アンの12試合で2勝3分け7敗と戦績は振るわなかった。

 フランス・メディア『Le Soir』によれば、アンリはクラブの重鎮であるラダメル・ファルカオやカミル・ギリク、アンドレア・ラッジらのベテラン勢に対して、「言うことを聞かなければ若手を起用する」という旨の脅しをかけていたため、選手たちとの間には軋轢が生じていたという。

 これにファルカオらは反発し、戦術メソッドも含めて間違っているという内容の意見をクラブ上層部へ陳情。チームの成績も改善されないことから、モナコはアンリを職務停止とすることを発表した。

 この電撃的な指揮官追放を嘆いたのはセスクだ。それもそのはず、31歳のスペイン代表は、ミランやヴィッセル神戸などへの移籍が噂されるなか、今月11日にモナコへやってきたばかりだったのである。
 
 アーセナル時代のチームメイトでもあるアンリの誘いを受けてやってきたというセスクは、28日に開かれた記者会見で、その心境を素直に告白した。

「僕は嘘をつくつもりはない。ここにやってきた大きな理由はティエリがいたからだ。彼はある時、僕に電話をしてくれて獲得を希望してくれた。そして、僕をこのチームのリーダーにし、全ての試合で全ての時間プレーさせたがっていたんだ。ご想像の通り、僕自身、ここ数日間はショックを受けていたよ」

 一方で2003年にプロキャリアをスタートさせて以来、サッカー界で酸いも甘いも経験してきたセスクは、「今回の件には驚いていない」と持論も展開させた。

「サッカー界というものは誰も待ってくれないんだ。だから、ティエリには、やりたかったプランに全てを費やすための時間がなかったんだと思う。正しい時期ではなかったのかもしれないね。ただ、これが人生さ。えてして、こうなってしまうものなんだ。僕はティエリが将来的にトップチームの監督になると真剣に信じている」

 なお、アンリに早々に見切りをつけたモナコは、その前任者であったレオナルド・ジャルディムの再登板を決めた。

 はたして、その決断は吉と出るのか、凶と出るのか。そしてセスクは新監督の下でいかなるパフォーマンスを見せるのか。注目のジャルディム体制の初陣は、2月2日に行なわれるリーグ・アン第23節のトゥールーズ戦だ。
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