「左サイドの即戦力として期待」スペイン3つ目のクラブ、アラベスで乾貴士に求められる役割とは?

2019年01月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

クラブは左サイドの人員不足が深刻

アジアカップで10番を背負っている乾。アラベスでの背番号はまだ未発表だ。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表MF乾貴士のアラベスへの加入が現地1月24日に発表された。期間は今シーズン終了までの6か月で、レンタルでの移籍となる。買い取りオプションが付くかどうかの発表は現時点ではされていない。

 アラベスはスペイン・バスク地方のビトリアを本拠地とし、1921年に創設された。降格と昇格を繰り返し、一時は3部リーグ(実質4部)まで落ちたものの、2016-17シーズンに1部に返り咲いた。今シーズンは開幕から好調が続き、現在リーグ5位につけている。

 乾はアジア大会終了後にチームに合流するが、現地では早くも"待望論"が持ち上がっているようだ。地元紙『gasteizhoy』が「アラベスは乾の補強でエンドポジションを強化したい」と報じている。

「現在30歳の乾貴士はラ・リーガでのプレー経験が豊富で、エイバルで長く過ごした彼は、その後ベティスに移籍。計108試合に出場して11ゴールを決めている。得点はすべてエイバル時代の記録だ。また、ブンデスリーガでも100試合以上の出場歴を誇る、非常に稀有なタレントだ。

 乾は今、日本代表としてアジアカップに参加しているため、合流は先になるだろう。だが、彼はチームに合流したらすぐ、即戦力として起用される可能性がある。イバイ・ゴメスがアスレティック・ビルバオに去り、ホニも負傷しているため、左サイドは人員不足だ。監督のアベラルドは直近の試合で、左サイドにブルギ、右サイドをルベン・ソブリーノで埋めたが、それ以外の選択肢はない状態である」

 また地元紙は、乾がアラベスに加入することによる"経済効果"にも期待を寄せている。

「日本人選手のブレイクスルーは、日本からの注目を集めることにもなる。エイバルで乾が注目された際、日本のメディアや観光客の誘致に効果があったことは知られている通りだ。また、アラベスは昨年11月に鹿児島ユナイテッドと業務提携を結び、地方のスポーツ活性を目的としたプロジェクトをともに発展させることを発表している」

 ちなみに、アラベスを運営するバスコニア・グループは、他スポーツの運営にも意欲的で、充実した育成組織に加え、今後はITテクノロジーを活用した運営・育成に力を入れている。鹿児島ユナイテッドとの業務提携に加え、乾の加入によって日本との繋がりを強化する狙いもあるだろう。

 プレーのみならず、ビジネス面でも期待されていると言えそうだ。今シーズンのベティスでは無得点に終わり、やや停滞感が漂っていたが、移籍を機に自身のキャリアを再び活性化することができるだろうか。
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